2018 Fiscal Year Research-status Report
組織の看護師特性に合わせた新倫理教育方法開発に関する研究
Project/Area Number |
18K10174
|
Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
中村 美起 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 助教 (70741255)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西脇 理恵 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 助教 (40759205)
今井 奈妙 三重大学, 医学系研究科, 教授 (90331743)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 看護倫理 / 看護倫理教育 / 職場環境 / 倫理的行動 / パワーバランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、、臨床における看護倫理教育の実態を把握した上で、Haidt(2012)の道徳基盤理論を基にする道徳基盤尺度を使った調査を行い、看護師の道徳的特性を捉えなおし、調査結果を検討することで、所属する組織の看護師の道徳特性に合った、発達理論だけではない新たな視点(道徳基盤理論)に鑑みた看護倫理教育の方法を見出すことを目的としている。 そこで平成30年度は、A県内の200床以上の病院施設の管理者(副看護部長・看護師長・副師長・主任)とスタッフ(経験年数2年~4年の看護師)を対象に、半構成的面接法を用いてフォーカスグループインタビューを行った。インタビュー内容は、①看護倫理に関する知識、②看護倫理に関する認識、③授受したい看護倫理教育についての3点を中心とした。【分析方法】面接内容を逐語録化し、①②③に関する言葉を1つの意味内容で1コードに細分化し、抽出したコードの類似性によってカテゴリー化し、2群比較を行った。【結果】看護倫理に関する知識は、看護管理者よりスタッフの方が看護倫理の具体的語句やその語の示す内容を述べることができていた。看護倫理に関する認識は、2群間に大きな差は見られず、『業務遂行と倫理的行動は葛藤』と挙げる等、倫理的問題に関する発言内容は同様であった。倫理的問題と認識した事象への対応には、2群間に相違があった。授受したい看護倫理教育は、2群間で合致または合致しない点が存在した。また、双方が倫理的問題として挙げていたのは、医師とのパワーバランスが倫理的行動に影響を及ぼしている事実であった。 これらから、看護管理者とスタッフ間の看護倫理に関する①②③に大きな乖離は存在しなかったと言える。しかし、2群間には、倫理的行動を巡るコミュニケーションの意識差が存在した。また、他職種との関係が看護師の倫理的行動に影響する事実も明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、本研究の初年度にあたる。まず、実態調査のための研究内容と研究協力依頼文書を作成し、研究の説明と協力依頼予定のため6月下旬から研究対象施設を回り、9月と10月に1施設、11月に1施設12月に1施設、平成31年2月に1施設、4月に1施設の5施設でデータ収集を実施した。残る1施設は大学附属病院を対象としており、再度対象施設の倫理審査のしょうにんを得た上でデータ収集をする予定である。 また、質問紙を使った研究については平成31年4月に所属大学倫理審査の承認を受け、現時点で4施設から承認を得ている。残る施設についても今後承認を得ていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年4月に1施設において半構成的面接法を用いた研究を実施しデータを分析中である。また、2019年4月に所属する大学の倫理審査委員会において質問紙を用いた量的研究の承認を得たため、現在5つの施設に研究依頼を行い、4施設から承認を受けており、残りの施設からの返答待ちの状況である。 承認の得られた4施設に対しては、2019年6月に調査を開始し、順次データ収集を行っていく予定である。半構成的面接法による質的研究の遅れは今年度中に取り戻し、当初の計画通りに研究を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
平成30年度は、まだデータ収集途中の段階である。そのために、残りの研究補助への人件費、対象者への謝礼、全データのテープ起こしを業者に依頼していないために26年度の助成金に未使用額が生じた。
|
Research Products
(1 results)