2020 Fiscal Year Research-status Report
看護学研究の倫理審査を行う側と受ける側への調査で把握した課題に基づく教育
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18K10176
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
大西 香代子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (00344599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箕輪 千佳 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (10520835)
有江 文栄 上智大学, 生命倫理研究所, 准教授 (40465521)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 倫理審査委員会 / 看護学研究 / 倫理審査 / インタビュー / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幅広い研究手法をとる看護学研究の倫理審査について、日本における現状と課題について調査し、諸外国での看護学研究の倫理審査における制度や委員への教育研修を参考に、日本における課題を解決するための方策を提案することを目的としており、本年度は3年目にあたる。新型コロナ感染の拡大で研究会議を対面で行うことはできなかったが、前年度に実施した全国の看護系大学を対象とする質問紙調査(審査を行う委員側231名、審査を受ける研究者側255名から回答)の分析を行い、そのまとめ方についてZoomを利用して検討を進めた。 委員側の結果より、現状に関しては、外部委員の不在等、倫理審査委員会の公正性に問題のある大学があることのほか、必要書類の不備、研究倫理の理解不足等申請者側の課題、委員に対する教育・研修が必要等審査側の課題とともに、組織の取組みに関する課題が明らかとなった。また、審査のあり方としては研究を支援する立場と考える人が半数を超えたが、審査基準があっても判断に迷う委員も多かった。この結果は、日本看護倫理学会及び日本看護科学学会で発表され、両者をまとめた論文は日本看護倫理学会誌に掲載が決定している。 また、研究者側の結果より、審査により研究がブラッシュアップされた等肯定的な評価をする人が半数あまりいた反面、審査結果を妥当と思わない人が14%もいること等課題も見いだされた。この結果は、2021年の日本看護倫理学会で発表予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
看護学研究の倫理審査を行う委員会の抱える課題や、審査側、受審する側の双方の認識や意見に関する調査は終了し、その分析や発表に関してはほぼ順調に進んでいる。しかし、当初予定していた研究者による交流集会及び審査する側の委員を集めての交流集会については、新型コロナ感染拡大によって多くの学会が開催の目途が立たなかったことから企画を見送った。また、倫理審査委員に対する教育プログラムについて、米国で調査・研修を行う予定であったが、これも新型コロナ感染の流行で実施不可能となってしまった。 委員に対する教育プログラムについては、文献やインターネットからの情報も集めて検討しなければならないが、調査結果のまとめに時間を要してしまい、あまり進んでいない。そのため、少し遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理審査を行う側への質問紙調査については、分析も成果発表もほぼ終了した。ただ、採択された論文には、字数の関係で、質問紙調査の自由記載欄に書かれていた内容を含めることができなかったので、その部分のみ、何らかの形で発表したいと考えている。 倫理審査を受ける側への質問紙調査については、ほぼ分析を終えており、論文化を進めたい。 米国及びベルギーにおける倫理審査システム及び倫理審査委員に対する教育プログラムについての研修は、今後の新型コロナウイルス感染症の終息やワクチンの接種状況により可能となるかもしれないが、現時点では予測できない。文献やインターネットから、情報を集め、日本に適用できる教育プログラムを検討しながら、渡航の機会を待ちたい。
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Causes of Carryover |
2020年度には、米国へ行き、倫理審査システム及び倫理審査委員に対する教育プログラムについての研修を受ける予定であった。しかし、新型コロナ感染症のパンデミックにより、渡航することができなくなり、その分の費用が未使用のまま残ってしまった。 新型コロナ感染症については、ワクチン接種率が50%を超えた国では感染者の発生が著しく減少していることが報告されている。現在、米国はもちろんのこと、わが国でも接種が開始されたことから、2021年度あるいはもう1年研究期間を延長すれば、海外での研修が受けられる可能性も高いと考えられる。前年度に使用しなかった予算はそのための費用としたい。
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Research Products
(3 results)