2018 Fiscal Year Research-status Report
看護研究の倫理に関する研究倫理的側面からの分析調査と教育プログラムの作成
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18K10181
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
土井 香 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 医学倫理研究部, 室長 (50505097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 健志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究支援センター 生命倫理部, 部長 (60431764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 看護研究 / 研究倫理 / 倫理審査 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的として看護研究を実施する組織や研究者の看護研究の倫理に関する知識や問題の現状を調査によって明らかにすることとしており、そのための当該年度の実施内容として、全国の大学看護学部、看護専門学校、病院看護部を対象に、看護研究の倫理に関するアンケート調査を実施予定であったため、事前の文献検索を行った。公表されている「看護研究に関する研究倫理」で検索した多くの文献が、看護研究の倫理審査に関する内容であり、「看護に関する研究を計画・実施するために必要な倫理的な知識」に注目しているのではなく「倫理審査の承認を受ける」という側面にこ意識が向いていることが示唆された。看護研究では、直接的に対象となる人の生命に危機を及ぼすような研究はないと考えられていること、同僚同士を対象に研究するなど、人を対象とする研究ではあるものの、それが必ずしも臨床研究とは限らない。研究が関連する専門領域(学問領域)が広く、様々な学問領域の研究手法を用いることが、看護研究の特徴といえる。それゆえに、医学研究が中心となる臨床研究の倫理審査委員会では理解されづらく、倫理審査で承認を受けることが困難である場合が多々あることが、看護研究に関する研究倫理の研究が「看護系研究の倫理審査」に関連するものが多い原因なのではないかと考えた。さらに、昨今、臨床研究は各専門家が発展し臨床研究等の組織的支援を行っているが、看護研究はその支援範囲から漏れることが多いか、看護研究の特徴をよく理解したうえで支援の提供を受けられることが少ない。さらに看護の教育システム上、研究に関する知識が十分ではないことも考えられ、様々な問題により看護研究は倫理審査に承認を受けることが難しい背景から、倫理審査に関することに目が向いていた文献に偏っていると考えられた。これらを踏まえ、文献検索を継続しつつ、看護研究を実際に計画・実施する研究者側の調査を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各年度の計画を立てているものの、文献検索等に時間がかかってしまった。 しかしながら文献調査の結果は今後の進め方の示唆を得られるものであった。文献で論じられている内容自体に偏りがあり(看護研究の倫理というよりも倫理審査について)、それ自体が現在の看護研究の抱える問題なのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は文献検索で収集しようと考えていた内容について、広く調査を行う必要が見えてきたため、今年度は調査の範囲を検討し実施する。当初調査が必要と考えていたものが、調査可能なのか、調査をして必要なデータが得られるのかも検討する必要があるが、現時点では、次年度からの引き続きで計画に沿って実施していく予定。 看護職への調査であり、原則的に倫理指針外となるために倫理委員会等での審査は不要と考えるが、多施設調査時の当該施設との調整がスムーズに運ぶように施設選定等を慎重に行う。
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Causes of Carryover |
本年度の調査が文献調査が主であり、会議などを開催しなかったこと、全国調査を実施しなかったことで使用額が少なかった。次年度は当初より予定していた調査の実施や会議または指導を受けるための交通費等などが発生する予定である。
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