2020 Fiscal Year Research-status Report
看護研究の倫理に関する研究倫理的側面からの分析調査と教育プログラムの作成
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18K10181
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
土井 香 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50505097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 健志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究支援センター, 部長 (60431764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 主観的情報 / 看護記録 / カルテ情報 / 既存情報 / 研究利用 / 事例研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
看護においては、実践を振り返り評価するうえで、事例研究は重要な研究手法である。一方で、看護研究を、研究者として実践のみならず、看護倫理の側面から対象者を保護するという側面で考えることも必要である。このため、今年度は看護倫理を通して研究倫理を考えるための提案として、研究の中の看護について、学会発表を行った。 また、看護では看護記録の主観的情報(S情報)を既存情報として利用する事例研究が見られるが、その特殊性からS情報は非常に慎重に利用するべき情報であると考えられる。そこで、看護記録に関する認識とその研究利用について、入院経験のある男女にアンケート調査を実施した。看護記録に看護師が記録を残していることを知っている者は77%、知らない者は23%だった。看護記録の中で、バイタルサイン等の測定値や投薬内容については回答者の99%が記録していると認識していたが、家族の情報については約32%、患者が看護師に話した内容や家族が看護師に話した内容については約50%から60%の者が記録していないと思うと回答した。さらに看護記録及びカルテ記録の研究への利用については、内容により、約50%から60%の者が、「自分の許可を得たら使用してもよい」と回答した。許可なく自由に使用してよいと回答した者は、検査値や投薬内容の約50%が最高だった。その他、患者自身や家族の情報、患者や家族が看護師に話した内容については20%程度の者は自由に使ってもよいと回答したが、一切使ってほしくないと回答した者も同程度いた。看護記録は、内容によっては既存情報として安易に利用することが無いようにするべきであり、オプト・アウトは同意を取得したとは見なされないため、研究への利用の際の同意取得や十分な配慮を検討することが必要である。以上、今年度は事例研究の計画・実施上の倫理的な問題点と必要な配慮を検討するための情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症との関連、また、文献調査により、当初考えていた調査内容の検討が必要と考えたために、予定していた調査ができなかったことが大きく影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は各倫理委員会、学会、研究者への調査を行い、看護研究倫理の現状と問題点を明確にする予定。そのうえで看護研究で学ぶべき点を考察し、他の研究倫理に関する教育研修等を参考に、その方策を検討したい。
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Causes of Carryover |
調査を実施していないために、調査出張費用やデータ入力補助者への支払いが発生しなかった。さらに国内外の学会参加や研究ミーティング開催ができなかったために、それらに充てた費用を使用しなかった。今年度は既に準備をしている調査や、調査補助者雇用、オンラインでの学会参加と公表等に使用する。
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Research Products
(1 results)