2018 Fiscal Year Research-status Report
多死時代の「生き方・生き場所」を支える家族調整スキル開発とICTを用いた普及
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18K10186
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柳原 清子 金沢大学, 保健学系, 准教授 (70269455)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 解決志向型家族アセスメント/支援モデル / 「渡辺式」家族看護研究会 / アクションリサーチ / 研究会/研修会の全国展開 / ICTでの広報とコンサルテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
初年次の目的は、家族調整スキル開発として(1)家族リジリエンス概念の論文化と(2)解決志向型家族調整モデル(「渡辺式」家族アセスメント/支援モデル)の「事例分析シート」を完成させICTで公開すること、そして普及活動で(3)専門職の調整能力の育成をはかることの第一段階として家族看護の研修システムを作ることであった。 (1)死をめぐる家族リジリエンス研究では、家族(システム)はメンバーの「死」をどう看取り、家族内外を調性して危機を乗り越えて調整していくのか、という家族の危機と対処の様相を整理し考察することとなる。学術論文および学会での公表と並行して、一般の看護師にリアリティを持って家族の対処過程を解説することを目的に、「家族の肖像」と題して、総説として看護専門雑誌に計8回の連載を行った。これは臨床/在宅の看護師の盲点となっている家族看護の実践の知を提示するためであった。 (2)先行して開発してきた「渡辺式」家族アセスメント/支援モデルでの、「事例分析シート」をリニューアルした。これは、システム(俯瞰的)思考と解決志向を基盤にクリティカルシンキング(系統だって吟味する)を強化するための分析シートであり、<「渡辺式」家族看護見える化シート>と命名した。 (3)ICTの活用として新たにホームページを立ち上げ、看護師の家族看護に関する事例分析力を高める目的で、<「渡辺式」家族看護見える化シート>を公表し、誰でも自由に使える形とした。さらに家族看護研究会(集団コンサルテーション形式での事例検討会)を定期的に行う組織を立ち上げた。また事例検討会と並行して、家族調整スキルを身に着けて実践と普及をしていく『家族看護マスター』養成のためのシステムを作成した。この『家族看護マスター』養成プログラムは、より高度な人材育成の研修計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年次は、目標とした3つの計画すなわち①家族調整スキル開発、②ICTを使った広報活動のためのホームページの立ち上げ、③人材育成のための組織の立ち上げと研修プログラミングができた。 具体的には、①において「事例分析シート」をリニューアルし、②ではホームページを立ち上げて、そこで「事例分析シート」およびスキルの開発意図とプロセスを公開した。③の組織化は、アクションリサーチの第一段階の、研究プロセスに研究者と家族支援専門看護師(上級実践者)および一般の看護実践者(保健福祉援助職含む)が参加する「参加型研究チーム」を作った。その研究チーム名は<「渡辺式」家族看護研究会>とした。 この研究会は以前より仲間内の研究会として存在していたが、今回全国展開するものに組織化/刷新化を図った。2019年4月段階で、研究会支部は、東京、関西、姫路、広島の4ケ所あり、交流会支部を神戸と金沢の2ケ所である。また、「渡辺式家族アセスメント/支援モデル」を用いた事例検討会を職場に導入し定着させるリーダーを育成することを目的に「事例検討マスター」プログラムを開始した。 以上により、初年次の計画は概ね達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
アクションリサーチの第二段階の「調査」に着手する。研究タイトルに示した「多死時代の「生き方・生き場所」を支える」には2つの調査研究がある。それは①地域の高齢者福祉政策に役立つ高齢者データの整理からのまちづくり展開戦略と、②複雑化する高度医療の中での「がん患者・家族支援の看護実践知の可視化(概念化)」である。 ①に関しては、高齢者が終末期に願う場で住みつづけられるか、課題のフィールド調査を行い、要介護高齢者および家族の終末期に対する認識、地域のソーシャルキャピタルを調査する。②では、看護師の事例研究(山本らの『「日本の現場発看護学」の構築をめざした事例検討方法』)を用いる。 また、専門職の家族調整スキルの向上をはかる研修では、その都度フィードバック調査票を配布し、家族調整スキルがどのように向上していくか、また教材や研修プログラムの妥当性を検討し、研修プログラムの改善を図っていく予定である。
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Causes of Carryover |
ICT関連の仕様書作成等の作業が遅れたことにより、年度末の支払いが出来なかったため、次年度使用となった。また研究補助者を確保できなかったため、人件費がゼロとなった。さらに計画していた国際学会(国際家族看護学会)は、抄録が間に合わず見送ったが、2019年度7月には、国際学会で発表予定である。
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Research Products
(22 results)