2020 Fiscal Year Research-status Report
多死時代の「生き方・生き場所」を支える家族調整スキル開発とICTを用いた普及
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18K10186
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柳原 清子 金沢大学, 保健学系, 研究協力員 (70269455)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多死の社会 / ACP(意思決定支援) / ICT活用 / 家族システム調整 / 地域包括ケア / 多職種協働 / 専門職(看護師)研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目の目的は次の2点であった。1点目はフィールド調査結果の公表である。2019年度に行った、住民が終末期に「願う場で住みつづけられるのか」のフィールド調査【H市の全住民アンケートを用いて、人生の終末期をどこで過ごしたいと考えているかの認識調査】をまとめて論文化し、国内、国際学会等での発表予定であった。和論文に関しては、看護の地域ケア専門誌に、終末期でのACP(人生会議)をめぐる患者・家族への意思決定支援について連載ができた。死をめぐる本人・家族の意思決定支援は、在宅ケアの現場で喫緊の課題であり、専門誌読者からは良好な反応が得られた。一方英論文作成までには至らなかった。学会発表は、コロナ禍で国内・国際の学会に行くことができず、とりわけ国際学会での発表はできなかった。 2点目は、専門職(看護師)を対象としたアクションリサーチ(=家族調整スキルを上げるための研修)の実施と効果測定であった。2019年度の活動に引き続き、解決志向型家族調整モデルのシートを用いて事例検討会と研修会を計画したが、コロナ禍で半年間は軒並み中止を余儀なくされた。夏以降はWeb研修に切り替え、事例検討会は毎月開催して、計7回実施し、参加者は毎回20名前後であった。一方、2日間の集中型「事例検討プレマスター研修」は2回開催できた。こうした直接研修に加え、「渡辺式」家族看護研究会を組織化し、全国に11支部開設して、そこでも事例検討会をオンラインで始める手筈を整えた。 本研究は、終末期の意思決定(ACT=人生会議)のための家族調整がスムーズに行えるように、援助職(看護師)が家族調整スキルを身につけて実施できるように、そのスキルの普及を図ることだった。アクションリサーチは順調に展開出来ており、援助職者の満足度調査はまとめられているが、患者・家族の意思決定支援効果の測定は遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年目の目的とした、(1) 終末期に願う場で住みつづけられるのかのフィールド調査のまとめは、和論文作成まではこぎつけたが、英論文作成と国際学会公表が遅れている。(2)専門職(看護師)の調整能力の育成をはかる方略は、コロナ禍で研修がまったくできないこととなったが、期せずして、ICTを使ったオンライン会議形式での研究会や研修開催の定着にこぎつけた。 こうして専門職(看護師)の満足度等の評価はできたが、コロナ禍で、看護師が多忙を極めており、本研究が意図した家族を巻き込む意思決定支援に関与できなくなっている現実がある。したがって患者・家族への意思決定支援の効果の測定までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、終末期の意思決定(ACP=人生会議)のために、家族システム調整がスムーズに行えるように、援助職(看護師)が家族調整スキルを身につけて、実際に支援を展開できることであった。残っている課題は、援助職(看護師)による患者・家族への意思決定支援の実施状況と、実施しての効果測定の2つである。これらは、看護師研修=Web会議形式の事例検討会/研修会を通して、彼らの実践評価から、患者・家族への意思決定支援の効果を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究3年目は、研究成果を国際学会で発表予定で、旅費等の予算立てを行った。コロナ禍で国際学会が軒並み中止(Web開催へ変更)となり、国際学会旅費が使用できなかった。また英文投稿を計画していたが、作業の遅れで実施できず、英文翻訳料として計上していた予算を使うことができなかった。 次年度の使用計画は、研究会等での調査費用(オンライン関連費用含む)と、研究成果の公表のためのホームページの立ち上げ費用、および英文論文のための英訳費用に充てる予定である。
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Research Products
(17 results)