2019 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルキャピタルを基盤とした看護師のワークライフバランス推進モデルの構築
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18K10192
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
豊里 竹彦 琉球大学, 医学部, 教授 (40452958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞榮城 千夏子 琉球大学, 医学部, 講師 (70295319)
平安名 由美子 琉球大学, 医学部, 助教 (30639521)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | nurse / work life balance / workplace social capital |
Outline of Annual Research Achievements |
沖縄県内外の病院のうち了承の得られた施設19施設に勤務する看護師775名に対象に無記名自記式質問紙調査を実施し、回答の得られた702名(回収率90.6%)を分析対象とした。調査内容は、性別、年齢、最終学歴、健康状態などの基本属性のほか、仕事と家庭の役割葛藤(Work-family conflict: WFC)、職場ソーシャルキャピタル(Workplace social capital: WSC)を設問した。本研究におけるWFC、ITLおよびWSCの信頼性係数クロンバックαはそれぞれ0.89、0.89、0.91であった。分析はt検定、Pearson積率相関係数および級内相関係数ICCを算出した。 結果、男性110名(16.1%)、女性574名(83.9%)であり女性が8割以上を占めた。基本属性で最も多数を占めた項目は、年齢は40歳代221名(30.2%)、最終学歴は専門学科・短大498名(79.3%)、婚姻状況は 配偶者がいる338名(48.4%)であった。育児を行っている者は301名(42.9%)、介護を行っている者は66名(9.5%)であった。 WFCおよびWSCの男女比較を行った結果、WFCは男性50.7±10.5、女性49.0±10.4、WSCは男性は30.4±4.9、女性は29.7±4.8で有意差を認めなかったため、以降の分析は男女混合で行った。 WFCとWSCの関連を検討した結果、r = -0.241(p < 0.001)と有意な負の関連を示し、職場ソーシャルキャピタルの向上により仕事と家庭の役割葛藤が低下することが示唆された。一方、病院間の効果の分散が全体の分散に占める割合を検討するためICCを算出した結果ICC = 0.001(0.1%)であり、仕事と家庭の役割葛藤のばらつきの0.1%が病院の違いとして説明できるが、その効果は極めて限定的であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの対応により、調査が難航しているところであるが、対象者数が一定の基準を満たしている点や回収率が90%以上であり評価できる。また、評価指標の信頼性係数クロンバックαが概ね0.9以上であり、調査の質も担保できている。今後も継続して、調査を実施していき対象施設数と対象者を増やすとともに、分析については、詳細な検討が不十分であり、workplace social capitalのタイプによっても健康指標や健康行動との関連が異なることから、linking social capitalや bridging social capitalなど workplace social capitalの多くのタイプとの関連について検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、継続して調査を行っていく予定であるが、新型コロナウイルスの対応等で病院看護師に様々なバイアスが伴っている可能性が否定できないため、慎重な検討が必要である。場合によっては、本来の計画を変更した、現在までに回収できた質問紙で詳細な分析を行うことも視野に入れる。分析は、従属変数として離職意向、主観的健康感やワーク・ファミリー・コンフリクト、独立変数としてworkplace social capitalを使用する。workplace social capitalのタイプによっても健康指標や健康行動との関連が異なることから、linking social capitalや bridging social capitalなど workplace social capitalの多くのタイプとの関連について検討する予定である。分析は、集団レベル影響を検討するためマルチレベル分析を用い、統計解析ソフトは、 SPSS26.0JおよびMLwiNを使用する。
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Causes of Carryover |
研究分担者2名に配分した消耗品購入等のその他経費が節約や工夫等により使用しなかったため、未使用額が生じた。次年度は、学会の年会費にあてる。
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