2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症患者の倫理的対応マニュアルの作成および遠隔アドバイスシステムの構築
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18K10220
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
伊藤 千晴 人間環境大学, 看護学部, 教授 (20434574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 惠美子 人間環境大学, 看護学部, 教授 (50434577)
栗田 愛 人間環境大学, 看護学部, 講師 (50759149)
早瀬 良 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (90571927)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 看護倫理 / 倫理的問題 / 認知症患者 / 尊厳 / 認知症患者対応マニュアル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、【認知症患者の尊厳の確保】【認知症悪化の防止】を最終的な目的にし、認知症患者への倫理的対応マニュアルを作成し、広く普及させ、効果的に活用ができるよう遠隔アドバイスシステムを構築しサポート体制を整えることである。2019年度は、以下の二点について実績の概要を報告する。 ①2018年度に救急医療に従事する看護師が経験する倫理的問題を調査し・認知症患者の運ばれる頻度・認知症患者の受け入れ頻度、受け入れができない場合の理由・認知症患者への対応困難度・看護者の倫理綱領1~6条に対して認知症患者の倫理的問題の経験頻度などについて結果をまとめた。240名から回答があり、救急現場での経験年数は7.0±5.2であった。また232名が認知症患者を受け入れると回答をした。対応困難度については、対応困難を感じるが142名、時々困難を感じる63名、非常に困難26名であった。成果については国内では2つ、海外では1つの学会発表の採択が決定した。これらの結果と日本看護研究学会第23回東海地方会において、4分割法を用いて倫理的課題の解決に向けた事例検討会(ワークショップ)での活発な意見交換をもとに認知症対応マニュアルを作成した。マニュアルの作成途中では、専門家や臨床現場の関係者と会議を設けた。 ②認知症対応マニュアルの普及の1つとして、医療現場で多く読まれている「Nursing BUSINESS 2019」に【看護倫理とラダー】というテーマで投稿し発表した。ここでは、日本看護協会が示している「看護師のクリニカルラダー」の5つのレベルを大まかに4つに分けて具体的な看護倫理研修の教育目標・内容や留意点についてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は以下の3つの目的に対して研究を遂行した。 ①認知症患者に対する倫理的問題について、国内外の情報を収集することについては、関係する学会や倫理研修会に参加して専門家からの情報を収集することが出来ている。 ②倫理問題の事例を医療現場から集めることについては、全国の救急病院289か所で救急医療に勤務する経験2年目以上の看護師を対象に無記名自記式質問紙調査を実施し、結果をまとめ成果を学会で発表した。 ③認知症患者の倫理的対応マニュアルを作成し、看護系雑誌に投稿し発表することで普及に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、以下の3点の推進方策を考えている。 ①作成した認知症対応マニュアルの妥当性を確かめるため、国内外から専門家の意見を聞き、随時修正を行っていく。 ②全国の救急病院289か所で救急医療に勤務する経験2年目以上の看護師を対象に無記名自記式質問紙調査を実施し、結果を論文にまとめ発表する。 ②システムの構築および遠隔研修およびネットワークの構築については、引き続き情報を収集し、ホームページの立ち上げや、教材開発を進めていき、遠隔アドバイスシステムの試用および評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で予定していた専門家会議が中止となったため、次年度使用額が生じた。新型コロナウィルスの感染拡大が落ち着けば、予定していた専門家会議を開催し、認知症対応マニュアルの妥当性について意見交換をする予定である。
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