2018 Fiscal Year Research-status Report
地域完結型医療で看護職の専門性の発揮を実現する教育支援プログラムの開発
Project/Area Number |
18K10225
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
朝倉 京子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00360016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 ゆかり 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20756259)
高田 望 東北大学, 医学系研究科, 助手 (60746840)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域完結型医療 / 地域包括ケア / 看護職 / 専門性 / 教育支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、地域完結型医療に関わる場で就業する看護職を対象とし、彼らの専門性、専門職性などに関する実態調査(予備調査と本調査)を実施した。 予備調査は、宮城県に所在する介護施設に勤務する看護職を対象に、半構成的面接を実施した。予備調査の結果、看護職の専門性として「利用者中心でのケア」「多職種・家族との連携・指導と関係構築」「医師のいない環境での医療的判断や処置」「医療行為に関する裁量の発揮」「医療現場とは異なる価値の徹底」などの領域が明らかになった。 本調査は、東北地方並びに関東甲信越地方の介護施設を無作為抽出し、そこに勤務する看護職2,400名を対象として無記名自記式質問紙調査を実施した。その結果、介護施設に勤務する看護職の専門職性の平均値は、病院の看護職と比べて、自律性は同等であるが分布に差があること、存続的/規範的職業コミットメントは介護施設の看護職のほうが得点が高いことが明らかになった。加えて、介護施設で働く看護職の心理社会的労働環境(蓄積疲労と精神健康)の平均点は、病院に勤務する看護職よりも低く状態が良好であることが示された。 本調査の質問紙の回収作業は終了していないため、引き続き回収しデータの解析を進める予定である。加えて、平成30年度は入所型の介護施設のみを対象としたが、平成31年度は、対象施設を訪問看護ステーションや診療所等に広げて調査する必要性もある。したがって、平成30年度に収集したデータの解析を進めつつ、追加調査を実施するか検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の計画通り、地域における看護職の専門性、専門職性等を明らかにするための実態調査を実施できている。ただし、研究対象施設は、当初の計画では地域の広い範囲の看護職を対象としていたが、施設ごとに大きな差異があると考えられたため、平成30年度は介護施設(介護老人保健施設、介護老人福祉施設)のみに限定した。したがって、訪問看護ステーション、診療所等の実態は明らかにできていない。介護施設の看護職から得たデータを解析しつつ、訪問看護ステーションや診療所等の看護職を改めて対象とする必要があるかを慎重に検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
地域における看護職の専門性、専門職性は、その属性によっても大きく異なることが推測される。そのため、平成30年度は入所型の介護施設のみを対象としたが、平成31年度は、対象施設を訪問看護ステーションや診療所等に広げて調査する必要性もある。したがって、平成30年度に収集したデータの解析を進めつつ、追加調査を実施するか検討する。
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Causes of Carryover |
調査票内容の検討(変数の選択や使用する尺度の検討)ならびに対象施設の選定方法を慎重に行った結果、調査時期が当初の想定よりも遅れたため。次年度、介護施設、訪問看護ステーション、診療所等の地域包括ケア領域で働く看護職の専門性、専門職性、多職種連携等に関する調査の費用に、今年度に引き続き充てる予定である。
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