2019 Fiscal Year Research-status Report
看護実践を肯定的な側面から評価する看護の質評価手法の確立とシステム開発
Project/Area Number |
18K10226
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高田 望 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60746840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 京子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00360016)
吉沢 豊予子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80281252)
宮下 光令 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90301142)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 患者経験価値 / PXサーベイ / 医療の質 / 看護の質 / Web調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで行われてきた看護の質評価手法を再考し、より適切な看護の質評価を探索することで、従来なかった看護の質評価指標を考案することが課題である。看護および医療の質評価には様々な側面があるが、今回は患者中心性に着目した。患者中心性とは、医療従事者、患者、患者家族のパートナーシップにより、患者の希望、ニーズ、思考を尊重した意思決定がなされることである。患者が意思決定のためのサポートを受け、自分のケアに参画でき、その結果患者の価値観に沿った個別化された医療が提供される。 患者中心の医療を実現するための一つの方法が、入院中に患者がどのような経験をしたのかを可視化し、評価することである。患者の経験を評価するため、アメリカやイギリスなどの諸外国では、Patient Experience Survey(PXサーベイ:患者経験価値調査)が広く導入されている。PX調査は患者アンケートであり、患者が入院中に経験した客観的な事実を評価させるものである。結果は自施設が提供している医療サービスの改善行動に使用される。日本ではPXサーベイの導入は進んでいないため、本研究課題においてPX調査の導入と評価を実施することとした。 令和1年度は、PXサーベイのWeb調査システムを開発した。これはタブレットを使用した調査システムで、集計を簡略化することで臨床現場に実装しやすいものとした。PXサーベイの内容は、イギリスNHS版の尺度を(一社)PX研究会が日本語翻訳・妥当性検証したものを使用した。研究フィールドとなるA病院の3つの病棟において、退院患者がPXサーベイに回答する体制を構築した。現在データ収集を進めており、次年度PXサーベイの有効性を評価する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では電子カルテデータを用いた看護の質評価を計画していた。検討を重ねたものの電子カルテデータの使用許可を得ることが困難であり、計画とは異なったデータ取得システムを構築することとした。そのため、研究の進捗がやや遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はPXサーベイの患者アンケートデータが集まるため、それらを分析を行う計画である。PXサーベイの結果は、一定期間で病棟ごとに集計して、各病棟で働く看護師や医師にフィードバックする。半年程度フィードバックを行った後、病棟の看護師や医師を対象としてインタビュー調査を実施し、PXサーベイのフィードバックがどのような意識の変化をもたらしたのかを明らかにする計画である。
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Causes of Carryover |
研究計画の変更により、システム開発費用が変更となったことなどから、一部の経費が次年度以降に繰り越しになった。次年度、システムの保守・修繕費用に充てる予定である。
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