2018 Fiscal Year Research-status Report
皮膚バリア機能と皮膚知覚との関係から考える効果的なスキンケアの検討
Project/Area Number |
18K10233
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐伯 由香 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (70211927)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 皮膚バリア機能 / 経表皮水分蒸散量 / 角層水分量 / 知覚閾値 / 医療用粘着テープ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、皮膚バリア機能と皮膚知覚との関係を明らかにし、皮膚バリア機能を維持し、不快な皮膚感覚を起こさないケアを検討することである。 本年度は医療用粘着テープを手掌側前腕部に2日間貼付し、剥離した後のバリア機能と知覚・痛み閾値を調べた。皮膚バリア機能は経表皮水分蒸散量(TEWL)を測定し、知覚・痛み閾値の測定は知覚・痛覚定量分析装置(本年度購入)を用いて評価した。医療用粘着テープとしては、不織布、プラスチック、ビニールテープ、シリコン素材の4種類のテープを使用した。 その結果、不織布とシリコン素材のテープは2日間貼付後もTEWLはそれぞれ5.8g/m2/hと1.6g/m2/hのわずかな増加で、知覚閾値と痛み閾値も大きな変化はみられなかった。それに対して、ビニールテープとプラスチック素材のテープ剥離後のTEWLは、それぞれ31.2g/m2/hと34.0g/m2/hと大きな増加を示したが、知覚閾値・痛み閾値には大きな変化は認められなかった。 皮膚バリア機能が低下、つまりTEWLが増加すると知覚過敏が起こり、知覚閾値や痛み閾値が低下することを想定していたがそのような結果は得られなかった。その理由として、今回は先行研究に基づき2日間持続してテープを貼用した。不織布とシリコン素材の角層水分量は貼用前と比べてほとんど変化しなかったのに対して、ビニールテープとプラスチック素材のものは、剥離後それぞれ31.2μs、34.0μsと大きく上昇していた。皮膚の乾燥が知覚過敏に関係していることを考えると、角層水分量が多かったことが知覚過敏を抑制した可能性が考えられた。今後は、医療用粘着テープの使用方法を変えて検討を続けることと、皮膚の乾燥とバリア機能・知覚との関係を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度、看護系で大きな学会の1つである、第38回日本看護科学学会学術集会(2018.12.15-16)を大会長として開催した。その準備・運営・事後処理等に時間や労力を要し、当初の計画よりも研究時間が確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究に基づいて、医療用粘着テープを2日間持続して貼用し、剥離した後に皮膚バリア機能や知覚閾値を測定したが、角層水分量が結果に影響する可能性が考えられたため、方法を変更することとした。持続して貼用するのではなく、貼用・剥離を複数回繰り返した後にバリア機能と知覚閾値を測定する、あるいは先行研究を参考にラウリル酸硫酸塩を皮膚に塗布することによって人工的に皮膚バリア機能を低下させた状態で評価することも考え、進めていく。また、皮膚の乾燥とバリア機能・知覚との関係を調べるために、保湿剤を使用した前後で同様に測定して検討することとする。
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Research Products
(5 results)