2019 Fiscal Year Research-status Report
褥瘡を有する患者のポジショニングー生体装着型モデルを通した創傷への影響解明からー
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18K10241
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
田中 マキ子 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (80227173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯貝 善蔵 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 部長 (20285208)
高橋 佳子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 研究生 (70782027)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 直接サポート / 間接サポート / ストレス / 負担 / 創の安定 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、体位変換における直接・間接サポート方法の違いが、生理学的指標へどのような影響を及ぼすかについて明らかにし、褥瘡を有する患者に対して負担の少ない体位変換方法について検討した。 方法は、20代の健康成人男性3名に対し、直接・間接サポートにおいて同様な角度が維持できる10度左側臥位を30分間維持した。唾液アミラーゼ、自律神経活動、心拍変動、体圧分散、主観的評価について、クロスオーバー試験により検討した。唾液アミラーゼはニプロ社製唾液アミラーゼモニター、自律神経活動と心拍変動はDailyCare BioMedical製ポータブル心拍変動計測器チェック・マイハート、体圧測定はモルテン社製アルテスタ®、主観的評価は聞き取りとした。自律神経活動は心拍変動解析から評価し、交感神経・副交感神経活動を求めた。被験者が臥床するマットレスはモルテン社製ピュアレックスを使用した。唾液アミラーゼ・体圧分散・自律神経活動と心拍変動は体位開始前と終了時、主観的評価は終了時に測定した。用語の定義として、直接サポートとは身体に直接ポジショニングクッションを当て体位をとる方法、間接サポートとはマットレスを介してポジショニングクッションを挿入し体位をとる方法とした。被験者には、実験に関係する身体侵襲、研究参加撤退等について口頭で説明し了承を得た。 結果、ストレスに関係する唾液アミラーゼ値・交感神経活動は、間接サポートにおいて共に低値を示した。心拍変動においては直接サポートにおいて上昇する傾向を示した。体圧分散は両サポートとも同様であった。主観評価では、2名は間接サポートの方が不快感は少ないと回答し、1名はどちらもあまり差がないとした。以上より、間接サポートは患者への負担が少ない体位変換方法と示唆された。この事は創の安定という面から、褥瘡を有する患者における体位変換方法でも有効と示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生理学指標に関する実験研究が症例数不足から、少し遅れているが、凡そ予定どおりに進行しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
生理学的検討において、筋緊張等への検討が十分に行えていない。症例数を増し、筋電図・筋音図データからも考察を深めたい。 この他、間接法を用いたポジショニング方法を普及・啓発するために、テキストを作成する。そのテキストに基づき介入を行った看護師や施設等へ、聞き取り調査を行い、質的研究という側面からも確からしさを高めたい。質的検討の際には、大学と臨床の双方から倫理許諾を得、実施する。
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