2018 Fiscal Year Research-status Report
安全・快適、コストパフォーマンスを実現する清潔ケアキットの開発と推進戦略の構築
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18K10242
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
松村 千鶴 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (50331864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 喜代子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70104809)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 化繊タオル / 生地表面の凹凸 / 心地よい素材 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,私は重症者に行われている清潔ケアが蒸した綿タオル数本で済まされていること,再利用の綿タオルは感染予防上安全な素材でないこと,綿タオルの代替素材として化繊タオルを導入した比較実験では,ほぼ同等の素材であることを実証した。但し,生地表面が滑らかな化繊タオルを用いた清拭では,生地表面に凹凸のあるタオルに比べ,心地よさが感じられず主観的,客観的な変化が乏しいことがわかった。そうしたことから,化繊タオルの生地表面の形状の違い(粗い目,細かい目)が清拭効果に及ぼす影響を,主観的,客観的評価指標で比較検討した。その結果,全身清拭効果を主観的評価で比較すると,両者ともに清拭終了後に覚醒度の低下とリラックス度の増大が有意に認められたが,粗い目タオルでは肌触りで1項目が高評価であり,POMSで4項目の評点が有意に減少したのに対して,細かい目タオルでは顕著な変化がなかった。客観的評価では,両者ともに清拭終了後に皮膚の水分量の増加,油分量・pH,清浄度の低下と,開始から終了15分後まで心拍数の減少,副交感神経の上昇,さらに開始から終了30分後まで深部温,皮膚温の上昇がいずれも有意に認められ,保湿性,保温性,快適性は同様であった。したがって,生地表面の形状の違いによる全身清拭効果を総合的に判断すると,粗い目タオルのほうが細かい目タオルに比べ若干ながら主観的心地よさをもたらす効果に優れていることがわかった。 現在、健康者を対象に化繊タオルの生地表面の凹凸による主観的・客観的に心地よさを追求しているが,今後は,基礎的データを踏まえ臨床におけるデータ収集を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで,化繊タオルにおける生地表面の凹凸程度を変えて,データ収集に多くの時間を費やしてきた。そのことから,心地よい生地表面の凹凸の程度が明確になってきており,今後は迅速に進めていくことを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,臨床現場でデータ収集することを予定している。これまでの基礎的研究結果,臨床における研究結果をもとに,企業と提携し商品開発を目指すことを考えている。それと同時に,先進国の重傷者の化繊タオルを用いた全身清拭を視察し情報収集をする。具体的には,全身清拭に費やす時間,使用後のごみ処理,広報活動も含めて検討する。特に,広報活動については,企業との連携で看護技術学会等で普及させる対策を考えている。
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Causes of Carryover |
清潔ケア素材の先進国である欧米への視察を視野に入れている。視察に行った際には,清拭にに費やす時間,清拭素材とその使用方法の見学,使用後のごみ処理等の情報収集を考えている。また,清潔ケア素材については,アジア諸国におけるニーズがあり,国内・国外の発表を考えている。論文発表も検討しており,特に英語論文の投稿には翻訳料の費用がかかる。
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