2019 Fiscal Year Research-status Report
看護師のワーク・ライフ・バランス調節力向上プログラムの開発
Project/Area Number |
18K10248
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
松尾 まき 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (00783549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 英子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (20299879)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 離職意向 / ワーク・ライフ・バランス調節力 / 看護職 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
少子高齢化の進展により多くの看護労働力が必要となり、看護職の深刻な不足が懸念されている。看護職の離職はライフイベントによる背景や、ストレスによる離職も報告され、仕事と生活のバランスを保つことの重要性が言われている。そこで,看護職のWork-life balance(WLB)調節力を評価できるstriving for WLB(S-WLB)behavior scaleを開発し、S-WLBが離職意向に与える影響を縦断研究によって明らかにすることを試みた。 ベースラインで2239人の看護職を対象に質問紙調査を実施し、有効回答者1368人でコホートを設定し、6か月後に追跡可能な975人の離職意向を評価し重回帰分析を実施した。S-WLBは離職意向に影響を与えていたことが明らかとなり、S-WLB行動が少ない看護師は、離職意向が高かった。また本調査で離職意向に最も影響を与えた要因はバーンアウトであったが,その他に、自分の勤める病院は離職率が高いと認識している看護職も離職意向が強く、仕事に見合った給与を得ていると思っていること、オープンな話し合いができている職場であると感じている看護職は離職意向が低かった。 看護職のWLB調節力が離職意向を軽減させる可能性があり、柔軟な職場環境の構築と看護職自身でWLBを調節していくことの重要性を教育し、ネガティブな離職意向を持ちながら働き続ける職員の離職予防のために、WLB調節力を向上させるプログラム開発の一端となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では看護職の離職意向についてWLBが重要と考え、WLB調節力が評価できる行動尺度を開発した。その有効性を検証するため、開発尺度を用い看護職の離職意向に与える影響を個人、職場環境、組織要因の側面からも検討し、重回帰分析を実施した。8月のベースライン調査後、6か月後までコホートを追跡し、その時点での離職意向を評価した。縦断研究によって、本研究の目的である離職意向への影響要因を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究成果を学会発表し、論文作成後、雑誌掲載を目指す。調査対象や地域を拡大し、実証研究を積み上げることでWLB調節力が離職意向を軽減させ、看護職員確保の手掛かりとなるよう発信する。職場環境の改善と同時にWLBを自身でコントロールする重要性を意識してもらえるよう働きかける。
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Causes of Carryover |
国外の学会参加はWorldwide Nursing Conference(シンガポール開催)を予定していたが、そちらではなくTHE EAST ASIAN FORUM OF NURSING SCHOLARS(タイ開催)に参加し、想定した費用より減額された。また補助事業期間の初年度から、研究者の所属機関が変更となっており、研究分担者との打ち合わせの際に生じる交通費が減額された。さらに当初予定していたSPSSの研修会ではない統計解析の研修会に参加したため、かかる費用が減額された。 使用計画として、論文投稿の際にかかる英文校正費や学会誌投稿料など、研究成果発信に向けて取り組むための資金に充てる。また、データ保存のための記憶媒体などの購入に充てる。
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Research Products
(3 results)