2018 Fiscal Year Research-status Report
医療安全教育を担う看護教員と臨床看護師の教育実践力を高める研鑽支援モデルの構築
Project/Area Number |
18K10259
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
衣川 さえ子 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (90538927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 郁子 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (10728033)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 看護安全 / 医療安全教育 / 教育実践力 / 相互学習支援システム / 看護教員 / 看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
看護師の看護安全に関わる実践力の向上のためには、看護学生からの一貫した医療安全教育が必須である。医療安全教育や研修の担当者が必要な教育内容を理解し、適切な教材を準備することは容易ではない。 本研究の目的は、医療安全教育を担う看護教員と、医療安全研修等を運営する臨床看護師の教育実践力向上のための研鑽モデルを構築することである。本モデルは相互学習支援システムとして、医療安全教育に関する素材をWeb上で蓄積・管理し、利用者が教材作成上のヒントが得られるように支援する仕組みである。 研究では、1)医療安全教育に関する研修例や教材の収集と蓄積法の検討、2)Web上での教材作成支援システムの開発、3)支援システムの運用による有用性の検証を行う。 初年度は、教材作成支援システムの開発に取り組んだ。先ず、教材作成に関するニーズ調査を2018年8~9月に実施した。臨床看護師10名、看護教員13名に医療安全教育の実施状況、教材作成上の困難と工夫について、フォーカスグループインタビューを60分程度で実施した。質的に内容分析した結果、困難な内容は、看護師では研修の効果的な企画・運営、研修の評価と日々の業務への反映などが、看護教員ではシミュレーションでの現実味ある設定と適切な展開、学生の安全に対する認識の希薄さと心情を踏まえた具体的指導法などが挙げられ、研鑽ニーズが高いことが確認できた。 次に、システムの構築と運用方法の検討を行った。相互学習の区分は、5カテゴリーすなわち、「臨床研修事例」、「授業事例(演習・実習含)」、「活用報告」、「Q&Aコーナー」、「交流の広場」で構成した。システム運用でのSNS機能の利用は専門業者に技術的サポートを受ける方法を選択した。運用効果の評価法を検討し、事前・事後に実施する質問紙調査の項目を確定した。 次年度は、開発した教材作成支援システムを運用し有用性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施する予定であった、1)医療安全教育に関する研修例や教材の収集と蓄積法の検討、2)Web上での教材作成支援システムの開発が円滑に実施できた。本年3月に医療安全の最新知識を得るための研修とともにシステムの活用方法を知らせる機会を研究参加希望者に提供できたことから、次年度に開発した支援システムを運用するための準備が整えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は5月~翌年2月までの10ヶ月間に渡り、開発した支援システムを運用しその活用実績をデータ化する。 課題は、研究参加者の量的な確保であり、今後は特に臨床看護師の参加者を多く募る必要がある。その対策としては、研究参加者募集の情報を広く行き渡らせられるようにインフォメーション方法を検討し、学会発表での情報提供機会の確保や関連する商業誌への情報提供依頼等の方法等を講じていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由には、以下の2点が挙げられる。 1)本テーマの研究に関する前段階の研究として、全国172病院の医療安全管理者を対象に2018年2~3月に質問紙調査を実施していた。その分析結果が参考に出来たことから、臨床看護師を対象としたフォーカスグループインタビューの対象者数を多く確保せずとも分析結果には影響ないと判断できた。対象者数が限られたため、協力者への謝礼金額が抑えられた。 2)2019年3月に実施した、研究に係る研修における参加者数(支援システムの参加希望者)が18名と当初の見積もりより少なかったことから、質問調査協力謝礼金額等が抑えられた。 なお、初年度の目標は達成できたことから、使用額を次年度に繰り越し有効に活用したいと考える。
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Research Products
(4 results)