2019 Fiscal Year Research-status Report
医療安全教育を担う看護教員と臨床看護師の教育実践力を高める研鑽支援モデルの構築
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18K10259
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
衣川 さえ子 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (90538927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 郁子 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (10728033)
竹中 泉 大阪信愛学院短期大学, その他部局等, 教授 (20737465)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医療安全教育 / 看護教員 / 臨床看護師 / 研鑽支援 / 教材コンテンツ共有システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療安全教育を担う看護師と看護教員の教育実践知の共有のための研鑽支援モデルを構築し、有用性を検証することである。初年度は、医療安全教育を担う看護師と看護教員の教材作成に関するニーズ調査の結果を踏まえ、研鑽支援としてのWebによる教材コンテンツ共有システム(以下、システム)を開発した。 本年度は開発したシステムを運用し、その成果を検討した。具体的には、医療安全教育に関する素材(研修企画例や教材)を蓄積・管理し、利用登録者が閲覧し、教材作成のヒントが得られるようにする仕組みをWeb上に制作し、SNSを活用して運用した。2019年5月~2020年2月に、本システムの教材コンテンツ共有フォルダーの5つのタグ、すなわち、「臨床研修事例」「授業事例(含む演習・実習指導)」「活用報告」「Q&A」「交流の広場」への素材の登録と閲覧を、e-ラーニングシステムを保有する専門業者に委託契約して、運用した。 運用実績をみると、本システムの利用者は43名(看護教員34名、臨床看護師9名)で、総登録数32件であった。内訳をみると、「臨床研修事例」ではチェックリスト・事故後対応など5件、「授業事例」では講義・演習・実習・研修の内容・方法・使用資料12件、「Q&A」では実習前の医療安全オリエンテーション方法が2件、「交流の広場」では学会の発表内容、情報提供13件であった。閲覧者の総コメント数は22件(「臨床研修事例」で6件、「授業事例」で8件、「Q&A」で4件、「交流の広場」で4件)であり、内容は感想・自施設での実施例などであった。 上記の結果から、看護教員と臨床看護師の医療安全教育の実践力を高めるにあたり、本システムの活用に対するニーズの存在が確認できた。同時に運用を活性化するための課題についても明らかになった。課題は、臨床看護師の利用を高める必要と、投稿やコメント書き込みによる相互交流の活性化である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた、支援モデルとして開発した教材コンテンツ共有システムを運用し、その実績が得られている。 加えて、本システム運用の有用性を検討するために計画した、運用前と後の量的調査が終了し、分析データが得られている。 全体的に、計画した研究スケジュールで研究が推進できており、成果の公表も学会で発表できている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度における研究課題は、構築した、医療安全教育を担う看護師と看護教員の教育実践知の共有のための研鑽支援モデルの有用性を量的、質的に評価することである。 そのために、量的調査と質的調査を実施し、その分析結果を併せて包括的に分析、考察する。量的調査は、本システムの利用前と後での質問紙調査を実施している。 事後調査は、2020年2月末に、本システム利用者43名を対象に実施した。質問内容は自己の医療安全教育実践力に対する評価8項目、教材作成の「アイデア」「自信」「心理的負担感」、参加者の「理解度 」「満足度」「関心」、教育の「やりがい」「継続意思」を問い、11段階リッカート尺度で回答を求めた。さらに、投稿・閲覧のメリットを複数選択で、活用の影響の有無とその内容を記述で求めた。 今後、質的調査を実施する。2020年6月21日に、「本モデルの活用における課題」についての、フォーカスグループインタビューを実施する予定である。 調査終了後には、分析結果をまとめて報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際学会がコロナ対策で中止となり、旅費の余剰が生じたため。
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