2018 Fiscal Year Research-status Report
リンパ浮腫患者の蜂窩織炎発症・再発要因探索とリスクアセスメントスケール開発
Project/Area Number |
18K10307
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
臺 美佐子 金沢大学, 保健学系, 助教 (50614864)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 蜂窩織炎再発 / マルチオミックス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、リンパ浮腫患者の蜂窩織炎再発予防プログラムを構築することであり、5カ年計画にて遂行予定である。初年度は、蜂窩織炎再発に関連する炎症性バイオマーカーの探索のための方法論検討・国内外でのフィールド構築を行った。 特に、リンパ浮腫蜂窩織炎再発に特有の炎症性バイオマーカー探索のための皮膚・脂肪組織サンプル採取手法を決定したことが大きな成果である。リンパ浮腫患者の皮膚・脂肪組織採取は、侵襲が大きいため倫理的に不可能である。そこで、治療として実施されるリンパ管静脈吻合術に着目した。この手術過程では、通常は破棄される脂肪組織がある。その脂肪組織の受け取り、保管、解析といったプロセスを対象施設決定とともに検討した。検討結果として、亀田総合病院(千葉県鴨川市)での上肢リンパ浮腫に対してリンパ管静脈吻合術を行う患者に同意を取得し、手術中に通常の過程で摘出される脂肪組織を研究者が受け取り、東京大学大学院医学系研究科実験室へ運搬して処理後、マルチオミクス解析(マイクロバイオーム,プロテオミクス,トランスクリプトーム)を行うことが決定された。 初年度は、この環境を整えることに注力し、その対象施設として国内1施設(亀田総合病院)のほか、国外1施設(モンペリエ大学)との共同研究を行うことに至った。国内外の各施設の見学及び打ち合わせを行うことができた。本研究計画は現在、東京大学医学部倫理委員会、亀田総合病院倫理委員会、モンペリエ大学医学部倫理委員会への申請を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンパ浮腫蜂窩織炎再発に関連する炎症性バイオマーカー探索のために、国内外でのフィールド確定、脂肪組織サンプル採取の方法及びその保管、運搬、解析方法の検討に1年を要した。その間、亀田総合病院、モンペリエ大学との共同研究に至り、現在東京大学医学倫理審査委員会の申請中である。実際に組織サンプルを得るには至らなかったが、実行できる環境を構築できたという点では、おおむね順調だと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は国内(亀田総合病院)にてリンパ管静脈吻合術を受けるリンパ浮腫患者の脂肪組織サンプルを得て、マルチオミックス解析を行う。対象者は乳がん術後の上肢リンパ浮腫患者のうち、蜂窩織炎再発群10名、蜂窩織炎発症群10名とし、各々のオミックス解析結果を比較する。そこで、再発群特有のバイオマーカーを明らかにする。 2020年度は国外(モンペリエ大学)にてリンパ浮腫患者にスキンバイオプシーを行い、皮膚・脂肪組織の特徴を明らかにしたうえで、臨床での非侵襲的な評価方法であるスキンブロッティング法の適用を検討する。
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