2021 Fiscal Year Research-status Report
リンパ浮腫患者の蜂窩織炎発症・再発要因探索とリスクアセスメントスケール開発
Project/Area Number |
18K10307
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
臺 美佐子 藤田医科大学, 研究推進本部 社会実装看護創成研究センター, 准教授 (50614864)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 蜂窩織炎 / 超音波画像診断 / 細菌叢解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リンパ浮腫患者の蜂窩織炎再発予防に向けたリスクアセスメントスケールを開発すべく、5カ年計画にて実施中である。前年度までの実績では、超音波画像診断(エコー)を用いて、蜂窩織炎既往歴のある下肢リンパ浮腫患者の真皮の特徴が低エコー所見であることを見出した。低エコー所見は、真皮の組織間液貯留と考えられ、蜂窩織炎発症時の炎症が残る状態と推測された。そこで、第4次年度となる今年度は、下肢リンパ浮腫患者の蜂窩織炎既往歴に関連する全身及び局所的な炎症関連因子を探索することを目的として、患者らの口腔内の歯垢、患肢の皮膚、患肢のリンパ管静脈吻合術中に得られる脂肪組織からサンプルを得て細菌叢を解析した。 今年度は下肢リンパ浮腫患者5名を対象とした。下肢リンパ浮腫病期はInternational Society of Lymphology分類II期またはII期後期で、蜂窩織炎再発歴を有する者(1年間に2回以上)が2名、蜂窩織炎既往歴のない者が3名であった。サンプルからのゲノムDNA抽出、PCRによる目的遺伝子の増幅とタグ付け、次世代シーケンサーで配列の読み取り、QIIME2による前処理を経て、細菌叢解析(Taxonomy analysis, Diversity analysis)を行った。Taxonomy analysysではサンプル個々の細菌種の組成解析、Diversity analysisでは多様度をα多様性、類似度をβ多様性で評価した。5名・各3部位の分析結果から、脂肪組織では全症例での類似した菌種の存在、皮膚スワブでは脂肪組織と同様の菌種の存在と多様性の低い症例の存在、歯垢では症例ごとの多様性の違いと、1名の歯周病原因菌の存在が明らかとなった。 次年度は、同様の方法で対象者数を増やし、下肢リンパ浮腫患者の蜂窩織炎再発者に特有の細菌叢及び炎症に関連する因子を探索する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、対象者のリクルート体制と感染予防対策を講じた調査方法の構築に時間を要した。そのため、対象者10名程度のリクルート予定であったところ5名に留まったことから、3と評価した。 次年度は、今年度に整備したリクルート体制と感染予防対策のもとで、今年度分の対象者数を加えた実行計画を立案している。調査対象施設の臨床及び実験環境の調整を完了しており、計画に沿いリクルート・調査・分析を実行していく。
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Strategy for Future Research Activity |
下肢リンパ浮腫患者のリンパ管静脈管吻合術(LVA)を受ける者を対象とし、口腔内歯垢・患肢皮膚スワブ・患肢のLVAで得られる脂肪組織の一部を用いて、細菌叢解析を行う。対象者らの蜂窩織炎再発歴の有無別に、基礎情報・リンパ浮腫情報・細菌叢の結果を比較・分析し、蜂窩織炎再発歴に関連する要因を明らかにする。
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Causes of Carryover |
対象者数が計画より少なかったため、調査環境整備・調査・実験・情報収集に必要な旅費及び、物品購入費が予定より少なかった。
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