2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K10317
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
石光 芙美子 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (00453457)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | せん妄 / 周術期 / 看護介入 / プログラム構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
せん妄は未発症期から発症前駆期、重篤期、回復期という経過をたどり、急性期医療の場では、患者の状態によってICUから一般病棟へと環境が変化するために、継続してせん妄ケアを実践することが困難な現状が報告されている。そこで本課題は、これらの経過を可視化できるデータベースを構築することで、看護師による早期介入の判断に基づく術後せん妄予防看護介入プログラムの開発を目的としている。 研究第1段階では、先行知見やせん妄ケアガイドラインに基づき、せん妄の<未発症期>、<発症前駆期>、<発症重篤期>、<発症後回復期>毎に、介入プログラムを構成した。それぞれの期に対し、看護介入目的と援助項目を整理した結果、【未発症期】は準備・誘発・直接因子の確認を目的に①安全リスク評価、②適切な環境調整、③症状マネジメント、④患者・家族へせん妄に関する情報提供(教育的支援)が挙げられた。【発症前駆期】はせん妄発症予防を目的に、また【発症重篤期】はせん妄の重篤化の回避と二次的障害の予防を目的に、①症状マネジメント、②生理学的異常所見のアセスメント・適切な対処、③睡眠覚醒リズム障害のアセスメント・対処、④安全のリスク評価と対策、⑤適切な環境調整、⑥早期離床・活動の促進、⑦家族への情報提供・精神的ケアが挙げられた。せん妄からの回復徴候が認められた【回復期】には、セルフケアの促進によってせん妄からの離脱を目的に、①セルフケアの拡大・生活リズムの構築、②せん妄体験の意味づけという援助項目が挙げられた。しかしせん妄ケアの国際的な現状では、ケア実施者である看護師のせん妄ケアに関する知識が不十分で、このことが患者と対峙する看護師の態度に影響を及ぼしていることが、せん妄ケアを提供する上で課題となっている。これらのことについて、国内の現状は明らかでないことから、介入プログラムの構築には前述の課題を踏まえて行うことが必要とされる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行知見やせん妄ケアガイドラインに基づき、せん妄の<未発症期>、<発症前駆期>、<発症重篤期>、<発症後回復期>毎に、介入プログラムを構成し、それぞれの期に対し、看護介入目的と援助項目を整理する段階まで進めたが、最終的に、看護師の行動を標準化できる判断基準としての介入プログラムを作成することができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、研究第2段階では介入プログラムの内容妥当性の評価を行う予定であったが、上述のとおりケア実施者である看護師のせん妄ケアに関する知識と、患者と対峙する態度について明らかにし、せん妄ケアを提供する上での課題に基づき、介入プログラムを検討することが早急に必要であると考える。したがって、まずは臨床看護師を対象に調査を実施し、前述の内容について明らかにすることを目指したい。
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Causes of Carryover |
(理由)研究第1段階では、アメリカ合衆国コネチカット州にある病院で行われている、せん妄予防プログラムを視察し、継続してせん妄ケアを実践できるシステムを検討することを目的としていたが、研究実施者の業務内容を調整することができず未実施である。(使用計画)次年度に視察できるよう計画する。また研究第1段階で新たに課題としてあがった臨床看護師を対象にした調査を計画し、そのための経費として使用する。
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