2020 Fiscal Year Research-status Report
重度の精神障がい者への多職種アウトリーチ支援における現象学的研究
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18K10329
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Research Institution | 福井医療大学 |
Principal Investigator |
近田 真美子 福井医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00453283)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精神看護 / 看護実践 / 現象学的手法 / ACT / アウトリーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、これまで収集したインタビューの分析を進めた。日本精神保健看護学会第30回学術集会において発表した結果は以下である。 看護師B(以下Bと略す)の実践は、地域という場における「本当の支援」を模索するプロセスそのものであった。「本当の支援」とは、利用者が「素/健康」な心をもって「その人が1人で考える」ことを支援することを指していた。この支援とは、利用者が自分で思考するための時間や空間を確保するなど「この人が決められるように」したり、他の視点を取り入れられるような問いかけを実施するなど「健康な心」を育む支援であった。 こうした支援が成立する背景には「信頼」という感覚が存在していた。例えば、利用者からのSOS電話や警察からの連絡が入るたびに「もう地域では見れない」と否定的な思いを抱いていたBが、利用者の「病的な部分」よりも「素/健康」な側面に焦点をあてるなど「見え方」が変化することで「今こんなことするはずがない」と考え「待つ」という行為に繋がるという場面があった。BのACT実践の構造は、地域における「本当の支援」を理解する過程において利用者を「支配」するのではなく、挫折や苦労に「寄り添う」といった安心を機軸とした支援から、「時間」の経過とともに「その人を理解」し「問題」と「本人の力」とが「見えてくる」といった視点の変化があり、その背景には「信頼」という感覚が存在していたことが明らかとなった。 他にも、看護師Cの実践「心配だから会いたい」、看護師Eの実践「支援の意味」のインタビュー結果を分析し論文を作成した。また、精神保健福祉士Jのインタビューも分析し、現象学的手法を用いた研究会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、対面でのインタビュー調査や研究会の実施が困難となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、アウトリーチ支援を実施している精神科医へのインタビュー、データ分析、発表を行う予定である。そして、アウトリーチ支援における実践の構造を可視化し地域で実践する専門職へフィードバックする機会を設ける予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により研究計画へ影響が出たため。
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