2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Phenomenological Study in Multiprofessional Outreach Support for Persons with Severe Mental Disabilities
Project/Area Number |
18K10329
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Research Institution | 福井医療大学 |
Principal Investigator |
近田 真美子 福井医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00453283)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アウトリーチ / ACT / 精神看護 / 看護実践 / 現象学的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,対象者6名のスタッフ1人ひとりの実践の成り立ちを,現象学的手法を用いて分析した内容から見えてきた結果について論じた.
ACTで働く看護師,精神保健福祉士,精神科医らは,利用者の精神症状の出現を抑えるといった地域生活の維持ではなく,彼らのリカバリーを目指し,彼らの主体性を回復するという主体化のプロセスに伴走する実践を展開していた. ACTスタッフらは,支援開始直後から展開される,利用者に振り回されるくらい寄り添い,苦楽を共にする中で利用者への眼差しが変化するという経験を有していた.そして,医学モデルの優位性を下げ,人間らしさの本質や日常の良識に目を向けながら,利用者自ら思考し,責任を負い,夢や希望といった自己実現を目指しながら地域で自分らしく生きることを支えていた.この利用者の主体性を回復するという主体化への支援こそが,地域生活の維持という状態にとどめておくことから,リカバリーという状態へと方向づけていくための分岐点となっており,結果として利用者の精神症状の安定をもたらしていた. 日本の精神医療を地域生活中心へと転換するためには,こうした専門性を携えながら,医療者中心ではなく利用者を中心に据えた支援体制の構築を図ることが不可欠であり,この方向性を見定める際の鍵となるのが利用者とともに行為しながら自らの実践を省察し,リカバリー概念を身体に落とし込む直接性の水準における経験であることが示唆された.
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