2021 Fiscal Year Research-status Report
脳血管疾患患者の早期在宅移行を支える包括的継続的シームレス支援に関する研究
Project/Area Number |
18K10333
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
林 みよ子 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (50362380)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 在宅移行支援 / 脳血管疾患 / 家族看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
クリティカル領域の熟練看護師を対象として、急性期にある重症患者の家族に対する看護実践とそれに至る思考について、脳血管疾患とその他の疾患の患者の家族への看護実践の相違を質的に検討した。 共通して、クリティカル領域の看護師は、搬入後早期から突然の出来事による家族の心情を推し量りながら心理的安寧の援助を行っており、死が近いと予測される患者の家族に対しては家族が後悔を残さないことを念頭に援助を行っていた。一方、脳血管疾患を発症し一命は取り止めると推測される患者の家族に対するSCU看護師は、入室時から患者の家族構成や同居者の特定を始め、患者に残る障害を予測し、その患者を介護する家族の認識と介護力、そして自宅に帰るために患者と家族に必要な看護援助を査定し、脳卒中パスに基づいて設定される退院予定時期までの支援に必要な他職種との協働や患者の自立に向けた支援を、家族に自宅での患者との生活のイメージづけを開始しながら、少しずつ患者が帰る家屋の詳細や家族関係の情報収集を行っており、他疾患患者やICU・救急部門での家族支援とは異なる視点で援助を行っていた。 脳血管疾患は、突然に発症し、発症後も病状が悪化する可能性もあることから、早期からの在宅移行を支えるためには、看護師には、患者の救命と家族の心理的安寧を最優先に支援しながら、同時に在宅移行に向けた支援の内容と方法を早期に焦点化し、タイムリーに実践できる能力が求められることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス新規感染者数が増加する時期もあり、本研究で対象とする看護師にその影響が大きく、協力が得られにくかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目的の達成には、脳血管疾患患者の急性期看護を実践する臨床看護師の協力は不可欠である。新型コロナウイルス感染症新規感染者数の減少や病床稼働率を見ながら、可能な範囲で協力を求め、早期在宅移行支援プログラム試案を作成、追加データ収集を進める。
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Causes of Carryover |
当初計画では、グループインタビューや全国調査、国内外の学会での情報収集や発表を予定していたが、本務による県外移動制限や渡航禁止、コロナ対応など新型コロナウイルス感染症の影響を受け、計画通りには調査協力や研究活動遂行が進められず、翌年度に持ち越さざるを得なかった。 今後も、新型コロナウイルス感染状況の変化は不確かであるが、新規感染者数や病床稼働率を見ながら協力が得られるタイミングで、対面とオンラインの両方を視野に入れて協力を求める。
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