2018 Fiscal Year Research-status Report
他国との比較に基づく日本型の精神障害者就労支援方策の提言
Project/Area Number |
18K10344
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
水野 恵理子 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40327979)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精神障害者 / 就労支援 / 精神医療福祉従事者 / 企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、日本と諸外国の文化、民族性、精神医療福祉制度、障害者の就労支援体制、労務管理に関する文献検討、及び海外の精神障害者支援施設へ訪問し、就労支援の実態や精神障害者の雇用に関する課題等の聞き取り調査を計画としていた。 訪問先は、ロンドンのMosaic Clubhouse(イギリス)、ヘルシンキのHelsingin Klubitalo(フィンランド)、ミラノのProgetto Itaca Milano(イタリア)のクラブハウス3か所であった。聞き取りによると、いずれの国も市民は精神疾患や精神科に対する偏見やスティグマを今も根強くもち、施設運営は市・教会・企業・家族・チャリティにより行われている部分が大きかった。イタリアとフィンランドは昨今の失業率が高くなっており、精神疾患・障害の如何に関係なく、就労が難しい状況であった。そのような状況の中でも、ミラノの施設では、スマートワークや在宅ワークを導入し、精神障害者の就労形態の幅を広げるよう努めていた。 次年度は、各国の労務管理に関する文献検討、欧州以外の国の精神障害者支援施設の訪問調査を引き続き行うとともに、国内(主として東京都、千葉県)のクラブハウス、就労移行・就労継続A型・就労継続B型事業所、障害者就労支援センター等の利用者・スタッフ、一般企業の人事担当者を対象に、心理的安寧、健康関連QOL、精神障害者の社会生活、精神障害者雇用に関する考え方と課題、企業と医療福祉機関との関係等に関する半構成的面接を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の計画としていた文献検討および海外の精神障害者支援施設の訪問調査を概ね実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画していた各国の労務管理に関する文献検討と整理が十分できなかったため、これは引き続き行なう。海外施設の訪問調査は、欧州に偏っているため、アジア圏、アメリカ、オーストラリアのいずれかの国の施設訪問を実施できるよう予定を組みたいと思う。 2019年度の計画は、国内での面接調査が主であるため、調査実施の具体的な計画書、倫理申請書類、依頼する施設や企業の選定と調整を行なっていく予定である。
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Causes of Carryover |
予算計上していた、連携研究者1名の国内旅費、および連携研究者2名の外国旅費を使用しなかったため、次年度使用額が生じたと考えられる。次年度は、連携研究者が学会や研修会へ参加し情報収集等を行なうべく、国内外の旅費として使用する予定である。
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