2019 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症者と高機能自閉スペクトラム症者における日常生活上の困難さ
Project/Area Number |
18K10346
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 純栄 京都大学, 医学研究科, 講師 (70454410)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 自閉スペクトラム症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日常生活上の困難さは社会適応の程度に反映されていると想定し、Autistic Traitsの視点から、統合失調症者と高機能ASD者の神経認知機能と社会認知機能の両側面からそれぞれの関係性を調査することである。認知機能としては記憶課題を、社会認知機能としては認知特性の自動思考と行動選択指針の社会的情報処理を、両者間にて社会適応とAutistic Traitsの程度別に比較検討を行う。前記の調査と合わせて、精神科リハビリテーションで用いられる単純繰り返し課題を行っている時の脳活動を測定する。 HF-ASD傾向が高い者は、対人場面の状況を解釈した後に、相手に自分自身の考えや思いを伝えるといったプランを選択する傾向、また生じている出来事を良い方向に持っていき、解決に繋げたいといったプランを選択する傾向が低いこと、加えて相手に何も言えずに漠然と話を聞き続けてしまうといった傾向が高かった。 HF-ASD傾向が高い者のうち、社会適応が不良な者は良好な者と比べ、対人場面の状況を解釈する際に、生じている出来事を一方的に他者のせいにするといった敵意的な解釈を選択する傾向が高かった。 統合失調症のうちHF-ASD傾向の高い者は、対人場面の状況を解釈する際、生じている出来事は誰のせいでもなく、たまたま起きてしまったことであるといった偶然事象的解釈を選択する傾向、また対人場面の状況を解釈した後に、他者に対して自分自身の思っていることを伝えるといったプランを選択する傾向、また最終的な行動として、相手に自分自身の置かれている状況を伝え、代替案などを提示する傾向が低いことが示唆された。 引き続き調査を進め、日常生活上の困難さが生み出される仕組みの違いを解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症対応のため、データ収集活動が行えない可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症のため、データ収集を長期間行えない可能性がある。 協力者間協議を行い、データ収集補完を検討する。 また、研究予定見通しを変更する。
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Causes of Carryover |
予定されていた英文校正が行えなかったため、予定使用額が変わってしまった。 本年度初頭に執行できる見通しが得られており、計画はほぼ予定通り遂行されると考えている。
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