2018 Fiscal Year Research-status Report
児童精神科病棟における家族支援ガイドラインの開発:熟練看護師の臨床判断を解明して
Project/Area Number |
18K10349
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
石田 徹 上智大学, 総合人間科学部, 助教 (10633076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢郷 哲志 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (00778243)
大久保 功子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (20194102)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 児童精神科看護 / 家族支援 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、同事業の基盤研究(C)15K11681を継続した研究として実施している。2018年度は、前研究課題の最終年度であり、本研究課題の初年度でもあるため、2018年度は前研究課題で収集されたインタビューデータを引き続き収集し、質的に分析した。この看護師、児童精神科医、精神保健福祉士、心理士を対象としたインタビュー調査によって、児童精神科病棟の看護師が実践している家族支援の内容、困難性、多職種連携の重要性と課題が明らかとなった。実践している家族支援では、看護師は入院経過などのタイミングを考えながら、家族の支援を実践していた。家族支援において、家族自身が精神疾患をもっているケースや家族が何らかの理由で強い不満を訴えてくるケースで看護師はどのように関わっていけばよいか困難と感じていた。特に、経験が少なく年齢的にも若い看護師にその傾向が強く示されていた。家族支援における多職種連携は、連携の形は違うが、どの施設でも比較的多くされており、看護師、児童精神科医、精神保健福祉士、心理士のどの職種においても重要視していた。多職種連携の中で、看護師の役割としては、患児の日常生活の様子(入院前の様子、病棟での様子)についての情報収集や家族への伝達であった。加えて、看護師は、家族とは面会などで多く会う職種であるため、家族へのねぎらいや不安について支援することも役割の一つであった。これらは看護師だけではなく他職種においても同じ認識であった。ただ他職種からは看護師にもう少し査定や方向性を含めた意見がほしいとの要望がみられた。今後、より詳細な分析によって明らかになった問題点をさらに検討していく。 なお、前研究課題では、ガイドラインの作成まで行う予定だったが、本研究課題でもある熟練看護師の臨床判断を加えて、最終年度にまとめてガイドラインとして発刊する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度(2018年度)の計画では、前研究課題(基盤研究(C)15K11681)の最終年度として、ガイドラインの作成を行う予定であった。しかし、ガイドラインの作成という研究の性質上、比較的多くのインタビュー対象者が必要とされ、その分析に時間がかかったため、ガイドラインの作成までに至らなかった。 上記のような事情はあったものの、本研究課題の初年度と最終年度に2回ガイドラインの作成を行うことによって、時間的、および経費的に適切ではないと考えた。したがって、初年度ではガイドラインの作成はせず、その内容と本課題の内容をまとめたガイドラインの作成を最終年度で行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(2019年度)は、本年度(2018年度)で分析した内容をさらに詳細に分析をする予定である。また、本課題である児童精神科病棟における家族支援を解明するために、倫理審査委員会の承認後、病棟での家族支援場面のフィールドワーク(参加観察)や再度、インタビューを行っていく予定である。 2020年度は、観察データとインタビューデータの分析を実施する予定である。 2021年度の最終年度は、ガイドラインの作成をしていく。
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Causes of Carryover |
本年度(2018年度)で、インタビュー調査の質的分析をテキスト分析ソフトを使用しなかったことによって、物品費の支出がなかった。また、ガイドライン作成を最終年度と変更したため、印刷費等の製作費やスーパーバイス費用の支出がなかった。以上のことから、次年度(2019年度)使用額が増えた。 次年度以降、計画通りの研究方法に加えて、施設のフィールドワーク(参加観察)を実施する予定である。その分の研究協力費、滞在費、旅費、物品費が必要になる。次年度に繰り越された金額はこれらに充てることとする。
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