2019 Fiscal Year Research-status Report
養護者による高齢者虐待共依存ケースへの対処法と看護職の共依存対応コンピテンシー
Project/Area Number |
18K10351
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
松下 年子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50383112)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高齢者虐待 / 共依存 / 看護職 / 対応コンピテンシー / 養護者 |
Outline of Annual Research Achievements |
共依存ケースの養護者による高齢者虐待に関する国内外の文献レビューを進めるとともに、高齢者虐待防止活動に関わる専門職を対象とした、関与した同ケースに関する概要と支援の実際、多職種チームとしての連携について対面式のインタビュー調査を実施した。それらのデータを分析した結果、まずは①体制のこと、②経験した虐待事例の詳細、③支援とその根拠、④支援者にとっての困難と課題、⑤支援者の対応とメンタルヘルス、⑥専門性向上への希求、⑦地域包括支援ゆえの葛藤と期待の7カテゴリが見いだせた。虐待ケースをアセスメントするための<尺度の使用>を進める、<スタッフの虐待等の研修機会を設ける>などの体制レベルの対応をしており、虐待事例については詳細な<介入のきっかけと経緯><経済状況><養護者の状況と特徴><養護者の虐待の認識><もともとの家族関係と社会との関わり><本人の認識と状況><養護者のケアに対する拘り>が語られた。また<スタッフが依存と判断した根拠>と<共依存や暴力への関わりや看護>の実際、<福祉サービスの整備と支援の窓口に関する課題><共依存ケースに対応するスタッフの困難感><職種や担当者により利用者への関わり方が異なる>といった困難と課題が明らかにされた。さらに<スタッフの対応の工夫><やりがいや達成感><スタッフのメンタルヘルス><スタッフで共有することとカンファレンスの開催>といった、スタッフの対応の工夫とメンタルヘルスの脆弱性が、さらに<必要な知識と能力>を得て<虐待か否かの判断に悩む>ことや<本人がどう感じているのか判断に困る>ことへの回避、事態解決に向けた専門性発揮を希求していた。最後に<年代を超えて虐待者が利用者になることへのスタッフの葛藤><虐待者との関係性を維持したい>といった、長期的展望に基づいて地域包括支援を目指すゆえの独自な葛藤と期待が見いだせた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染に関する緊急事態宣言、具体的にはステイホーム、3密回避の行動制限等により、専門職を対象とした養護者による高齢者虐待の共依存ケースに関するインタビュー調査及び、高齢者虐待防止活動にかかわる多職種チームのミーティングへの参加等に支障が出た。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、緊急事態制限の解除を待ちつつ、一方でZoom等の媒体を使用した面接調査や、ミーティング参加等のあり方を検討している。先方の承認が得られなければ困難であることから、状況をみながらタイミングよく依頼することを考えている。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染に関する緊急事態宣言、具体的にはステイホーム、3密回避の行動制限等により、専門職を対象とした養護者による高齢者虐待の共依存ケースに関するインタビュー調査及び、高齢者虐待防止活動にかかわる多職種チームのミーティングへの参加等に支障が出たことから、予定の支出額に至らなかった。緊急事態制限の解除等の事態の改善を待って、早々に面接調査とミーティング参加等に取り組む。
|