2021 Fiscal Year Research-status Report
養護者による高齢者虐待共依存ケースへの対処法と看護職の共依存対応コンピテンシー
Project/Area Number |
18K10351
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
松下 年子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50383112)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 / 共依存 / 対応能力 / 尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
養護者による高齢者虐待の場合、困難事例としては共依存ケースが典型例としてあげられる。虐待されている高齢者が、虐待者である夫や息子等をかばって虐待されていることを隠す、あるいは援助職が虐待者と被虐待者をせっかく分離しても、被虐待者が自ら虐待者のもとに戻ろうとするケースである。 本研究では、養護者による高齢者虐待の共依存ケースに対する援助職のアセスメント・対応コンピテンシーを評価する尺度の開発を目指して、尺度案を作成、その信頼性、妥当性を確認するために質問紙調査を実施した。分析対象者は329名で、一般職が7割、職種は3分の2が介護福祉士であった。因子分析の結果からは、作成したコンピテンシー尺度が家族内の共依存のアセスメント、養護者と被虐待者のアセスメント、職員間や関係機関との連携と仕事への構え、虐待を認知した時の対応、専門的知識の5因子、27項目から構成されていることが掌握された。Cronbachのα信頼性係数は0.94であった。また5因子において、ところどころ業態別、勤務年数別、国家資格の保有別にて有意差が認められた。相談支援に携わっている者、社会福祉士資格、介護支援専門員資格保有者のコンピテンシーがそれ以外の群と比較して高い傾向にあった。 いずれにせよ、共依存ケースの対応能力等を査定する高齢者虐待の日本語版尺度を開発し、その内定妥当性・信頼性を確保したことは世界において初のことであり、尺度の信頼性、妥当性が確保されたことの意義は大きい。現在海外論文に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在調査を終え、研究成果について論文を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
世界的に有名な学会誌に投稿し、共依存に対応している援助職の育成に貢献したいと考える。特に日本の場合、共依存ケースに悩んでいる者が少なくなく、その開発に貢献できると考える。
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Causes of Carryover |
海外論文に投稿中であり、採択後に掲載費用が見込まれるため。
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