2018 Fiscal Year Research-status Report
クローン病患者のセルフマネジメントの実態と関連する要因
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18K10354
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
石橋 千夏 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30564976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪下 八重 佛教大学, 保健医療技術学部, 教授 (60290483)
籏持 知恵子 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (70279917)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クローン病 / セルフマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、クローン病患者のセルフマネジメントの実態と関連要因を明らかにすることを目的とし、尺度開発と実態調査を行う。 2018年度は尺度開発にむけて、構成概念の学術的裏付けのために「クローン病患者のセルフマネジメント」の概念分析を行った。 目的:クローン病患者のセルフマネジメントの概念を明確にし、その構造を明らかにすることで、クローン病患者への看護支援の基盤となる示唆を得る。 方法:Walker & Avant(2005)の方法を参考にした。PubMed、CINAHLで「inflammatory bowel disease」「self-management」で検索し、1998~2018年に掲載され、タイトルかキーワードにself-managementを含み、16歳以上のクローン病患者を対象に含む26文献を分析した。 結果:抽出された属性より、「クローン病患者のセルフマネジメント」は【病気や療養についての情報を自ら選択して活用する】ことで【厳格に悪化予防へ取り組む】ことを基盤に、【病状の変化に応じて絶え間なく調整する】プロセスを持ち、【積極的に人的資源を活用する】ことが必要である。また自分の能力を最大限活かしながら【病気があっても人生の希望を持って生活する】ことでもあった。その先行要件として【慢性的な病状が存在する】【自己効力感がある】【サポートがある】が、帰結として【症状・重症度の改善】【心理的状態の改善】【QOLの向上】【医療経済的効果】が抽出された。慢性疾患患者のセルフマネジメントと比較し、【積極的に人的資源を活用する】の《治療に関して医療者とパートナーシップを形成し協働する》や【病気があっても人生の希望を持って生活する】はクローン病患者のセルフマネジメントに特有であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は第1段階を概念分析とし、これまでの調査と合わせて尺度原案を作成する。第2段階では尺度の信頼性・妥当性を検討し、第3段階で実態と関連要因について明らかにする。 現在、本研究の第1段階の概念分析が終了した状況であり、おおむね計画通りと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は第2段階の尺度の信頼性・妥当性の検討のうち、尺度の内容妥当性を検討し、尺度項目を精選する。 これまでの「看護師がとらえるクローン病患者のセルフマネジメント」と「クローン病患者がとらえるセルフマネジメント」についての調査結果と今年度の概念分析の結果から尺度原案を作成する。作成した尺度原案がクローン病のセルフマネジメントを判定できる内容であるかをクローン病看護の専門家(研究者、専門看護師)等3~5名程度に面談し、意見を収集する。また尺度項目に答えにくいものがないか、病歴5年以上のクローン病患者5名程度から意見を収集する。 それぞれの調査は代表者の所属研究機関で倫理審査を受けて行う。 2020年度はクローン病患者に対して調査を行い、尺度の信頼性・妥当性を検討し、関連要因を明らかにすることを目的として、クローン病患者500名程度を対象に調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
尺度の信頼性・妥当性の検討までに調査結果を処理するための備品等を調達予定であった。また概念分析結果を学会発表する予定であった。しかし備品の調達が年度内に間に合わなかったり学会発表が2019年度になるなどし、次年度に持ち越すこととなった。 2019年度は備品等の調達を行い調査に備える。また尺度項目の精選のため患者会やクローン病看護の専門家のもとへの調査のための旅費および謝金などに予定通りに使用する予定である。
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