2018 Fiscal Year Research-status Report
Development and validation of respite care model for schizophrenic patients
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18K10358
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
石橋 昭子 国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 講師 (20380777)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 統合失調症者 / 家族介護者 / 地域生活支援 / レスパイト / 生活の質(QOL) / セルフマネジメント / ケアモデル / 精神看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、在宅で家族介護者に対して実践されているレスパイトケア(休息のための短期入院)を応用して、統合失調症者に対するレスパイトケアモデル開発し、その妥当性を検証することである。本研究は国が目指す「地域移行・地域定着」というこれからの精神医療の方向性と一致しており、次世代精神医療の多様性と看護の質向上に貢献できると考える。 2018年度は、わが国のレスパイトケアに関する研究動向を概観するために論文タイトルを用いた計量テキスト分析(KHcoder)を実施した。また統合失調症者のレスパイトケアの概念についてWalker & Avant(2005) の概念分析を用いて検討した。その結果、統合失調症者のレスパイトケアの定義(試案)では、「地域生活をおくる統合失調症者の家族介護者の要因、あるいは生活上のストレスやセルフマネジメントの限界に直面したストレス脆弱性を抱える当事者の主体的な意思決定の下で成立し、一時的な介護者役割の代行により心身の休息とエンパワメントを当事者にもたらすものである。その結果、当事者に情緒のゆらぎが生じることもあるが、ストレス対処、症状マネジメント、ソーシャルサポートを獲得し、リカバリを促進するものである」という示唆が得られた(第38回日本看護科学学会学術集会・愛媛にて発表)。 また精神科レスパイトケア研究会を12月に開催した。研究会では、今後の計画や方向性の確認と統合失調症者のレスパイトケアの定義についての意見交換を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、文献検討に時間を要した。また精神科訪問看護師および精神科病棟勤務の看護師に対するインタビュー調査と質問紙調査を計画し、国際医療福祉大学研究倫理審査の承認を受けたが、精神科レスパイトケアを実施している精神科病院が少なく、調査協力を得ることが困難であった。そのため2019年度は、調査対象地域の拡大およびショートステイ、グループホームなどの精神科レスパイトケアを受け入れている施設を再検討し、早期に調査できるように倫理審査の見直しを含めて計画する。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に得られた知見を参考にしながら、2019年度(2年目)は、インタビュー調査及び質問紙調査を行ないレスパイトケアモデル(案)を作成する。2020年度(3年目)は、協力施設での試行と評価によるレスパイトケアモデル(案)の妥当性を検討する。得られた成果は関連の学術学会等での学会発表や専門学会誌等での投稿論文により公表を行なっていく。 研究協力者は、床島正志氏(西九州大学看護学部看護学科精神看護学、前グループホームもちの樹管理者)、大畑邦広氏(社会福祉法人愛敬会障がい福祉部精神保健福祉士)、原田美穂子氏(株式会社ルミナス訪問看護ステーションりんりん管理者)、木林和男氏(グループホームもちの樹看護師)、飯田仁志氏(福岡大学医学部精神医学教室精神科医)磯野真穂氏(国際医療福祉大学大学院保健医療学)、長弘千恵氏(徳島文理大学保健福祉学部看護学科公衆衛生看護学)、道面千恵子氏(九州大学医学研究院保健学部門 看護学分野)の8名であり、研究会での現場実践や専門的立場からの情報提供、調査方法およびデータ分析の妥当性の検討等についての協力を得る。
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Causes of Carryover |
2018年度は、精神科訪問看護師および精神科病棟看護師に対するインタビュー調査が出来なかったため、インタビュー調査に必要な経費が繰越となった。また2018年度は2回の研究会を計画したが、インタビュー調査結果の検討ができなかったため、1回の研究会は次年度に持ち越すこととなった。 2019年度は、インタビュー調査及び研究会開催に加え、質問紙調査と成果発表を行なっていく計画である。
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