2019 Fiscal Year Research-status Report
介護老人保健施設看護管理者を対象とした日本版バリューズヒストリーの開発
Project/Area Number |
18K10362
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
高橋 方子 千葉科学大学, 看護学部, 教授 (80305341)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バリューズヒストリー / 介護老人保健施設 / 看護管理者 / 施設長 / 入所者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はわが国の事情に即したバリューズヒストリーを開発することを目的とした。介護老人保健施設(以下、老健施設)看護管理者を対象とし、デルファイ法により日本版バリューズヒストリーを構成する項目(国内における先行研究およびLambertらが示したValues Historyから抽出した57項目)に対する必須度の評価等を調査した。3回の調査のうち、2018年度は2回目まで終了し、2019年度に最終の3回目の調査を行った。725施設に調査を依頼し、回収率は1回目調査は14.2%(103人)、2回目調査は16.7%(121人)、3回目の調査は122人(16.8%)だった。対象者の属性は3回の調査とも、平均年齢は54歳で、平均臨床看護師経験年数は24年前後、老健施設看護師経験年数は9年前後だった。勤務する老健施設の概要では3回の調査とも、設置主体は医療法人が最も多く60%前後で、入所定員は51人から100人が最も多く70%から75%、また入所者の平均介護度は3.3から3.6だった。バリューズヒストリーの構成項目としてのコンセンサスを80%以上の対象者の同意としたところ、3回の調査を経て、抽出された項目は、「健康上の問題に対する医師からの説明内容」、「主治医に対する信頼」、「医師以外のケアサービスの関わり方の希望」、「人の世話を受けなくてはならなくなったときの希望」、「自分の意思決定の特徴」、「大事にしたいこと」などの22項目だった。 また、同725施設の老健施設施設長および入所者を対象に日本版バリューズヒストリーを構成する項目の評価についての調査を依頼した。回収率は老健施設施設長を対象とした調査は3.4%(26人)で、入所者を対象とした調査は1.8%(13人)だった。これらの調査結果は2020年度に集計し分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画は、2018年度は介護老人保健施設看護管理者を対象にデルファイ法で、2019年度は入所者を対象に日本版バリューズヒストリーに関しての調査を実施する予定であった。調査は予定通りに進めることができた。 しかし、調査に協力できる入所者が予想以上に少なく、十分なデータを収集できなかった。そこで、研究結果の精度を補うために、調査対象者に施設長を追加し、複数の立場の対象者の認識について調査をするように計画を修正した。施設長を対象とした調査も2019年度に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2019年度に実施した介護老人保健施設看護管理者、施設長、入所者を対象とした調査結果をまとめ、学会発表と論文を投稿する予定である。さらに2015年に実施した訪問看護師を対象とした調査結果と合わせて、日本版バリューズヒストリーを作成し、地域住民を対象とした啓発活動をする予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、参加予定だった国際学会が開催されず、旅費に関して予算どおりに執行されなかった。また介護老人保健施設入所者および施設長を対象とした調査が2019年度末となったため、データの整理が2020年度に持ち越された。繰り越しとなった研究費は2020年度の学会参加旅費およびデータ整理のための謝金とする計画である。
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