2018 Fiscal Year Research-status Report
精神科病院における隔離拘束削減の取り組みに関する組織指導者の認識についての研究
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18K10375
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
新村 順子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主任研究員 (90360700)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | mental health nursing / acute psychiatric unit / coercive practice / trauma informed care / organizational culture |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,①研究コアチームの策定、②文献レビュー、③精神科病院の看護職等を対象に実施した隔離拘束削減プログラム教育研修の効果評価研究の実施とその論文作成を主に行った。 ①研究コアチームは、研究代表者、研究協力者、また精神科病棟の隔離拘束についてのスペシャリストである研究者などに加わってもらい策定した。②③については、コアチームを中心に実施する体制とした。 ②文献レビューは、国内外の隔離拘束削減プログラム、組織変革、リーダーシップについての文献を主な対象として実施した。特に、職員個人から組織管理者まで包括的に対象として含んでいる隔離拘束削減プログラム、trauma-informed care (以下TICとする)に注目し、既存研究の実施状況、課題などの整理を行った。文献検討の結果、精神科領域/対人保健サービス領域では、TICの教育/実施プログラムの開発はされてきているが、信頼性・妥当性のある尺度を用いた評価研究が乏しいこと、プログラム効果の継続性をどのように担保していくのかが課題となっていた。 ③②の結果を基盤に、精神科病院の看護職等を対象とした、TIC研修プログラム(1日)を開発し、その効果評価を継続して行った。具体的には、研修前後と3か月後のフォローアップについて研修の効果を、TICに対する態度を測定する尺度を用いて評価した。開発した研修プログラムは、参加者に態度の変化を有意にもたらし、その効果は3か月後も持続していたことが明らかになった。また、3か月後の実践内容にも変化をもたらしていた。詳細については、英論文を作成し、看護系国際誌に投稿中である(in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度予定していた先駆的に隔離拘束プログラムを実践している北米への視察については、調査対象組織との都合がつかず実現することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、TICを含めた隔離拘束プログラムを先駆的に実践している組織の組織管理者に向けてのインタビューガイドの作成、インタビューの実施を目標とする。 また、TICについて、組織実践の程度を評価する尺度が存在しており、日本での使用に向けて準備を進めていくことを予定している。
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Causes of Carryover |
主に今年度計画していた海外渡航費分が未使用のために次年度使用額が生じている。TICの実践評価尺度の日本語版の作成などを通して、米国の研究者などとはネットワークができつつあるので、次年度以降引き続き視察などを検討しているところである。
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