2019 Fiscal Year Research-status Report
オーラルケアチップによる妊娠期の歯周病菌スクリーニングの意義
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18K10376
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
成田 好美 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (80455881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兒玉 英也 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (30195747)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 妊婦 / 歯周病菌 / 歯周組織検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本調査は妊娠初期の歯周病自覚症状および妊娠前の口腔ケアと妊娠中期の客観的口腔内所見との関連を明らかにすることを目的に実施した。 方法は、妊娠15週までの妊婦32名に,妊娠初期の歯周病自覚症状と妊娠前の口腔ケアについて質問紙調査を行った。その後妊娠24~27週に歯科健康診査を実施し客観的口腔所見を収集した。Community Periodontal Index(CPI)が3以上を歯周病と定義した。歯周病自覚症状と客観的口腔所見および口腔ケア項目との間で有意差検定を行った。本調査は秋田大学医学部倫理委員会の承認を得て行った。 歯周病を有する妊婦は29名(90.6%)であった。「歯肉の腫れ」を自覚していない妊婦は自覚している妊婦と比較してPCRが有意に高く(p=0.04)、歯垢の付着が多かった。「口臭」を自覚してない妊婦は自覚している妊婦と比較し,歯周ポケット最大値が有意に深かった(p=0.022)。口腔ケアでは「小さく振動させて磨く」「定期的な歯科健診」を実施していた妊婦は実施していなかった妊婦と比較して歯周ポケット最大値が有意に短かった(p=0.024,p=0.016)。「歯間,歯肉の境目を磨く」を実施していた妊婦は,実施していなかった妊婦と比較して出血歯数割合と出血点割合が有意に低かった(p=0.0001,p=0.003)。 本研究の結果から、歯周病自覚症状は、客観的口腔所見を適切に反映しないと思われた。妊娠前の口腔ケアでは,「小さく振動させて磨く」「歯間,歯肉の境目を磨く」の「磨く」ことを意識した歯磨き習慣と「定期的な歯科健診」が妊娠中の客観的口腔所見を良好すると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の感染拡大により病院内における研究協力者(妊婦)のリクルート活動が令和2年4月より困難となった。目標人数には達しなかったが、研究を進めるための人数は確保できたと思われる。 本研究では、三菱ケミカル社に妊婦の歯周病菌の検出を依頼予定であったが、三菱ケミカル社は令和2年3月までで歯周病菌検出等の事業からの撤退が決定した。そのため、三菱ケミカル社より細菌検出を行っている他の外部業者を紹介していただいた。検体は唾液であるが、検体はそのまま使用できることが確認できており、歯周病菌の検出は計画どおりできる予定である。 また、妊婦の歯周病組織検査は研究代表者が実施する計画であったが、倫理的問題の解決とより安全で正確なデータを収集する目的で歯科の専門家である歯科衛生士に依頼し、妊娠中に自治体から配布される妊婦歯科健康診査受診票を使用して無料で行うこととした。。歯周組織検査は、当初の計画では妊娠初期、中期、産後1ヶ月の3回を予定していたが、受診票は自治体より1枚のみの配布であるため、歯科健康診査が安全に実施できる中期1回のみに計画を変更した。歯周組織検査は1回のみとなったが、専門家による実施となり、より正確なデータを蓄積できると推測される。 本研究では非妊婦も研究対象としていたが、歯周組織検査が歯科衛生士の実施となり、 非妊婦の場合は無料で施すことができないため、非妊婦は対象としないことに修正した。しかし、本研究の主な目的は、妊婦の歯周病菌出現状況と口腔の健康状態との関連および妊娠経過,妊娠合併症に与える影響を明らかにすることであるため、目標達成を大きく妨げる修正ではないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠初期の妊婦の研究協力者は確保できたため、今後は中期、産後1ヶ月の唾液採取と中期の歯周組織検査を継続する。唾液中の歯周病菌の検出がまだ実施できていないため、今年度は、対象者全ての初期、中期の唾液中の歯周病菌の検出を実施する。
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Causes of Carryover |
本研究の最も大きな経費は歯周病菌の検出の依頼費用であるが、検出依頼をする外部業者の変更により検出依頼が遅延しているため、次年度使用額が生じている。 次年度は、外部業者が決定したため本格的に歯周病菌の検出依頼し、次年度使用額を使用する計画である。
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