2018 Fiscal Year Research-status Report
小児病院におけるファシリティドッグ導入促進のためにー細菌学的視点からみた安全性ー
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18K10389
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
境原 三津夫 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (30332464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
エルダトン サイモン 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (30512066)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ファシリティドッグ / メタゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国では現在2頭のファシリティドッグが活動している。2010年に日本で初めて静岡県立こども病院にファシリティドッグが導入された。2012年には神奈川県立こども医療センターにおいて緩和ケアチームの一員として、2頭目が活動を開始した。ファシリティドッグの主な仕事は子どもたちとスキンシップをすることであり、このスキンシップがストレスを軽減する効果がもつ可能性が示唆されている。ファシリティドッグは、看護職のハンドラーと共に毎日病院に出勤することで、子どもたちとの信頼関係が築かれ、ストレスを軽減するだけでなく、子どもたちを元気づけることに寄与していると考えられている。 このように、動物介在療法の一つとして世界的に認知されているファシリティドッグであるが、手術室へ付き添ったり検査に立ち会ったりと、最善の治療環境を作るという意味から「動物介在看護」という新たな看護分野としても認められつつある。近年はその効果について、唾液中のコルチゾールやアルファアミラーゼ、IgA、血圧、心拍数などを指標として検討した報告がみられるようになっている。これらのことを踏まえ、今年度は動物介在療法が患者の身体的・精神的側面に及ぼす影響・効果について文献的検討を行った。犬による動物介在療法については、性的虐待を受けた子どもの法医学的面接においてストレス軽減効果を示唆するものやアメリカの復員軍人の緩和ケアにおいて臨床心理士とファシリティドッグの介入によりストレス軽減効果を示唆するなどの報告がみられる。一方で、ストレス軽減効果については疑問を呈しいている報告もあり、その効果についてはコンセンサスが得られるには至っていないのが現状である。犬の皮膚や粘膜の細菌に関するメタゲノム解析に関する研究報告も散見され、今年度の文献検討の結果は来年度以降に実施する実地調査の結果を評価する際に参考にする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
わが国では、2010年1月より静岡県立こども病院において1頭、2012年7月より神奈川県立こども医療センターにおいて1頭の合計2頭のファシリティドッグが活躍している。平成30年度は、両病院に勤務しているファシリティドッグの口腔内、便、尿、皮膚、足底から検体を採取し細菌のメタゲノム解析を行うことを予定していたが、予算の関係から採取部位を限定する必要があること、またこの解析は30検体を同時に解析することから、令和元年度に実施予定の一般家庭飼育下のゴールデンレトリバーのメタゲノム解析と合わせて実施する方が効率的であり、計画を一部変更した。検体を採取するまでの手続きに時間を要するが、メタゲノム解析に要する時間は数日であるので、研究の遂行に関しては予定の期間で終了するものであるため、おおむね順調に経過していると考える。 動物介在療法は効果があるとの事例報告は多数報告されており、現在はその効果について科学的な検証が進められるようになってきたところである。ファシリティドッグに関連しては、看護の1領域として「動物介在看護」という用語を用いている研究者もおり、様々な視点から効果について分析が進められている。このような状況変化を踏まえ、平成30年度は、動物介在療法の中心となっているイヌ、ウマ、イルカに関する文献を検討し、ファシリティドッグだけではなく、動物が人の健康に及ぼす影響について世界の動向を把握した。
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Strategy for Future Research Activity |
わが国では、2010年1月より静岡県立こども病院において1頭、2012年7月より神奈川県立こども医療センターにおいて1頭の合計2頭のファシリティドッグが活躍している。令和元年度は、両病院に勤務しているファシリティドッグと従来か口腔内、便、尿、皮膚から検体を採取し細菌のメタゲノム解析を行う。足底に関しては、病院内の廊下上の細菌を反映すると推定され、採取の意義と予算を考慮し採取部位から除外した。 また、ファシリティドッグにおける検体採取と併せて、一般家庭飼育下のゴールデンレトリバーのメタゲノム解析についても、令和元年度に同時に実施する。一般家庭飼育下のゴールデンレトリバーに関しても、採取の意義と予算を考慮して、足底を除外して検体採取を行うこととした。
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Causes of Carryover |
わが国では、2010年1月より静岡県立こども病院において1頭、2012年7月より神奈川県立こども医療センターにおいて1頭の合計2頭のファシリティドッグが活躍している。平成30年度は、両病院に勤務しているファシリティドッグの口腔内、便、尿、皮膚、足底から検体を採取し細菌のメタゲノム解析を行うことを予定していたが、予算の関係から採取部位を限定する必要があること、またこの解析は30検体を同時に解析することから、令和元年度に実施予定の一般家庭飼育下のゴールデンレトリバーのメタゲノム解析と合わせて実施する方が効率的であり、計画を一部変更した。このため、2頭のファシリティドッグ分の検体のメタゲノム解析費用を次年度に持ち越した。
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