2021 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期に発症した小児がん患児の療養を支える家族力支援モデルの開発
Project/Area Number |
18K10390
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
横森 愛子 山梨県立大学, 看護学部, 准教授 (90413210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 純子 山梨県立大学, 看護学部, 准教授 (60279908)
浅川 和美 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60283199)
加藤 由香 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立こども病院(臨床研究室), 臨床研究室, がん化学療法看護係長 (60835742)
大島 智恵 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10345720)
安藤 晴美 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20377493)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小児がん治療 / 家族 / 乳幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は、両親が乳幼児期に小児がんの初回治療を受ける患児を支えるプロセスを明らかにすることである。そのため、乳幼児期に小児がんの初回治療を受けた患児の母親と父親を対象に、質的記述的研究をおこなった。この研究をもとにして家族力支援モデルを構築することを目指すため、分析の検討に時間を費やした。 1)母親を対象とした研究では、「小児がん治療を受けるわが子への関わりが変容していくプロセス」を分析テーマとして、M-GTAを用いて分析をした結果、【治る治療に希望を託す】母親が、【治療のための過庇護的関わり】から、治療に向き合うわが子に成長を感じて、【頑張り分の距離を設けた関わり】へと関わり方が変わり、【子どもの闘病力を後押しする】関わりをするようになっていたことが明らかになった。その過程には、夫や治療を受けるわが子、医療者、ピアとの相互作用があった。 2)父親を対象とした研究では、「乳幼児期に発症した小児がんの初回治療を受ける患児に対応していく父親の行動形成プロセス」を分析テーマとして、M-GTAを用いて分析をした結果、父親は、治療を受ける患児に対して【わが子に笑顔をもたらす】ために<わが子が安心できることをする>行動をとり、治療を受けるわが子を支えていたことが明らかとなった。そのような父親の行動には、妻との相互作用により【夫婦が互いに支える】ことや治療を受けるわが子との相互作用により<わが子の頑張りに励まされる>ことが関与していた。 今後、小児がんの初回治療を受ける患児を支えるプロセスにおいて、これまでの研究から明らかになった母親と父親の患児を支える行動や認識をもとに、支援モデル(案)を作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題のスケジュールにおいて、当初3年目までの研究計画としていた家族力のアセスメントガイドの作成を進めていたが、それを小児看護に従事する熟練看護師からの研究協力を得て研究を進めるにあたり、新型コロナウイルス感染症の罹患患者の増大による医療がひっ迫したことから、看護師の協力を得ることが困難となった。リモート会議も検討したが、その時間をとることが難しい状況であったことからも、研究の取り組みが計画より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.これまでの研究成果を基に作成した家族力のアセスメントモデルについて、小児看護に従事する熟練看護師の意見を収集して精錬する。臨床現場における家族支援の実情をふまえ、作成したアセスメントモデルの適用を検討する。 2.小児がん治療を受ける乳幼児の家族で、患児の状態が安定している両親に作成したアセスメントモデルを用いた介入をおこなう。 3.2の評価方法の検討をおこなう。「オルソンの円環モデルに基づく家族システム評価尺度」を評価に用いることについて検討をおこない、評価方法を決定する。 4.看護介入を受けた家族に、評価ツールを用いて面接にて評価をおこなう。その評価をもとに、家族力支援モデルをさらに精錬する。 上記の研究プロセスにおいて、新型コロナ感染症の患者の増大等で臨床現場での研究協力を得ることが困難となった場合、臨床側の意見をもとに方法の変更を検討する。
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Causes of Carryover |
1.次年度使用額が生じた理由 ・研究の遅れがあり1年間の延長が認められたことから、研究に要する費用が必要であるため。 2.使用計画 ①インタビューやアンケートの実施に掛かる経費(謝礼も含む) ②データ入力のための人件費 ③分析のための会議(必要時リモートとする)に掛かる経費(謝礼も含む) ④学会発表や論文投稿に掛かる経費
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