2022 Fiscal Year Annual Research Report
A pilot study on health literacy and health risk perception strategies of Japanese university students
Project/Area Number |
18K10424
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
武田 龍一郎 宮崎大学, 安全衛生保健センター, 教授 (90336298)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘルスリテラシー / ヘルスプロモーション / 健康教育 / 健康リスク認知 / リスクコミュニケーション / ヘルスコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヘルスリテラシー(以下、HL)と健康リスク認知特性を主題とした探索的研究である。令和4年度までに合計403名の大学生と140名の医療従事者の研究参加を得た。これらにより、最終的に以下の知見が得られた。 【大学生を対象とした調査】調査I(HLに関する調査):学生のHL総合得点(HLS-EU-Q47日本語版、50点満点)は28.3±6.1点(平均±標準偏差)であった。先行研究における国内の一般住民よりも高水準であったが、国際比較では低い水準に留まった。属性では男子学生が高得点であった。調査II(健康リスクイベント毎のリスク・利益バランスの認知プロフィールの調査):概観すると、多様な健康リスクを回避/受容/葛藤という比較的単純なheuristics方略を用いていた。HLが低水準であると葛藤しやすいことが推測された。また性別による健康リスク認知への影響が大きいが、HLを高めることで性別による差異は減らし得ることが示唆された。調査III(疾病・死亡リスクイベント生起発生確率推測値の調査):概観すると、稀なリスク事象ほど単調かつ過大(10万人対で千人程度)に推測し,逆にありふれたリスク事象は過少に見積もる認知方略が示唆された。属性では、医系学部生は相対的に現実(真値)に近いリスク認知をしており、医学教育による効果を示唆した。 【医療従事者を対象とした調査】HL総合得点は27.7±6.5点であった。また調査II及びIIIの全体像は概ね学生と同様であった。 総括すると、ヒトの健康リスクの受け止め方は、その認知方略・法則性や属性による特性の強い影響下にある。そしてこのことは、医療従事者と利用者で変わりがない。なればこそ我々医療従事者は、旧態のパターナリズムではなく、利用者に対して対等な関係性と真摯な相互理解を希求することが重要であるとの結論に至った。
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