小児期から成人期への移行を見据えた移行期医療看護支援モデルの構築

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K10433
• Research Institution: Mie Prefectural College of Nursing
• Principal Investigator: 前田 貴彦 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (60345981)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 移行期医療 / 思春期 / 看護支援

Outline of Annual Research Achievements

医療の進歩により、小児期発症の慢性疾患をもち成人期に達する患者が増加しているが、今小児医療において成人期医療への「移行期にある患者」の円滑な移行に向けた支援が重要課題として示されている。しかし、小児期医療から成人期医療への移行支援について看護師による具体的な支援方法については十分検討されていない。そこで本研究では、看護師および患者とその家族が考える、小児慢性疾患患児の成人期医療への移行を妨げる要因や課題および円滑な成人期医療への移行のために必要な看護師の役割や看護支援内容および成人期医療への円滑な移行に向けた小児慢性疾患患児に対する看護支援モデルの開発を目的とする。そのため、2018年度は、主に国内の移行期医療の現状を把握するために、情報収集および文献検討を実施した。
移行期医療に関する文献検討において、主に【医療者の役割】【医療者の意識】【移行を進める際の難しさ】【患者・家族の思い】が示された。【医療者の役割】では、患者個人の理解や希望を確認・尊重しながら移行へのイメージ化を助けることが必要であり、看護師等によるコーディネーターとしての役割や社会資源の紹介、相談役などが挙げられた。【医療者の意識】では、小児科医師と成人科医師との認識に差が見られた。移行を進めたい小児科医師であっても、責任をもって最後まで診たいとの気持ちや、移行先がないことから積極的な紹介が出来ずにいた。【移行を進める際の難しさ】では、重症例を診ることも多く、移行後経過が把握しにくいことや小児特有の疾病に不慣れであること、薬や来院のアドヒアランス、小児特有の法律・規制への対応の不慣れさおよび合併症併発や入院施設がないといった現状が示された。また、【患者・家族の思い】では、移行することへの不安や情報不足、親主体であることによる患児の関心の低下が問題視されていた。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

当初の研究計画において、2018年度は、近畿・東海・関東圏内で研究協力の得られた医療施設に勤務し、小児慢性疾患患児や移行期の患者ならびに小児期発症の慢性疾患患者の看護経験を3年以上有する看護師にインタビューを行い、看護師が考える、小児慢性疾患患児の成人期医療への移行を妨げる要因や課題および円滑な成人期医療への移行のために必要な看護師の役割や看護支援内容を明らかにする予定であった。しかし、看護師へのインタビューを行う前に、さらなる移行期医療の現状を把握することがより良いデータ収集にもつながると考え、2018年度は情報収集と文献検討を中心に実施した。そのため、研究の進捗が計画よりも遅れている。なお、2018年度の計画は、2019年度に実施予定である。

Strategy for Future Research Activity

当初の研究計画において、2018年度に実施する予定であった、看護師へのインタビューについては、2019年度に実施する。また、当初2019年度に実施する予定であった、小児期発症の慢性疾患で小児期医療受診中の患児・患者とその家族および成人期医療に移行した患者が考える、成人期医療への移行を妨げる要因や課題および円滑な移行のために必要な看護師の役割や看護支援内容を明らかにするために、近畿・東海・関東圏内で研究協力の得られた医療施設で小児期発症の慢性疾患をもち小児期医療受診の思春期・青年期の患児・患者とその保護者および小児期医療から成人期医療に移行した小児期発症の慢性疾患患者への面接調査は、計画通り2019年度中に実施予定である。
但し、対象者のリクルートに時間を要する際は、実施計画が延長となる可能性がある。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由として、当初の計画では、2018年度に近畿・東海・関東圏内で研究協力の得られた医療施設に勤務し、小児慢性疾患患児や移行期の患者ならびに小児期発症の慢性疾患患者の看護経験を有する看護師にインタビュー調査を行う予定であったが、当該年度には情報収集と文献検討を実施したため、これらの調査に必要な経費が次年度使用額となった。使用計画としては、2019年度に2018年度実施予定であった研究内容を実施するため、当初2018年度に計上した予算については、2019年度に計画に沿って使用できると考えている。