2022 Fiscal Year Research-status Report
小児期から成人期への移行を見据えた移行期医療看護支援モデルの構築
Project/Area Number |
18K10433
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
前田 貴彦 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (60345981)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 移行期医療 / 看護 / 思春期 / 慢性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに、小児期発症の慢性疾患をもつ患児の成人期医療への移行および円滑な移行のために必要な看護師の役割を検討するために、看護師の認識について面接調査を継続して実施した。特に、思春期の患児を担当する外来看護への面接調査において、移行期医療や移行期支援について、患児や家族と接する機会が少なく、成人期への移行を話題することが少ない現状や看護師自身も移行期支援に対する認識が低い現状であった。また、小児病棟に勤務する看護師では、成人期にある小児期発症の慢性疾患をもつ患児が、小児病棟に入院していることに「20歳を超えた患児が小児病棟に入院していることに違和感をもつこともあるが、あまり意識はしていない」との認識もあり、積極的に移行を進めている現状ではないことが明らかとなった。さらに、「移行については、医師の考えによるところが大きく、看護師側から進めていくことは難しい」との認識もあった。よって、円滑な、成人期への移行支援のためには、看護師の移行期支援に対する認識を高めるとともに、看護師と医師とが連携して、移行を進めていく重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究開始当初より、移行期医療や看護支援について、小児慢性疾患患児の成人期医療への移行や移行のために必要な看護師の役割および看護支援内容を明らかにするために、文献検討をはじめ、看護師を対象の中心とし面接調査を継続して実施し、その結果について分析を行ってきた。新型コロナウイルス感染症の影響により、データ収集が難しい状況ではあったが、面接によるおおよそのデータ収集は完了した。また、2020年度には、近隣県の施設において面接調査と並行し看護師を対象に移行期医療において配慮すべき事柄等についての実態調査を行った。これらの結果を踏まえ、2022年度は、全国の小児病棟等に勤務する看護師を対象とした質問紙調査を実施予定であった。しかし、継続する新型コロナウイルス感染症の全国的な再拡大と小児の感染者数や入院患者数の増加が見られたため、病院や看護師への負担を考慮し、全国規模での質問紙調査については研究協力依頼を見合わせた。そのため、2022年度に計画していた質問紙調査を2023年度に実施することとした。これらの計画変更に伴い、2022年度を終了としていた研究期間について、再度延長申請を行い2023年度に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の実施に計画変更した全国の医療施設に勤務する看護師への質問紙調査については、今後は新型コロナウイルス感染症の影響を受けることなく、予定通り遂行可能と考える。現在までに、研究依頼施設の選定および質問紙の原案は作成できていることから、2023年度において当初の研究計画で期待していた研究成果を見出すことができると考える。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、2019年度から実施している小児慢性疾患患児や移行期の患者ならびに小児期発症の慢性疾患患者の看護経験を有する看護師に対する面接調査を実施してきたが、度重なる新型コロナウイルス感染症の影響により、当初の計画よりデータ収集数が少なくなり、これらの調査に必要な経費が次年度使用額となって生じた。また、2022年度には、全国の医療施設に勤務する看護師を対象に質問紙調査を実施する予定であったが、継続的に続く新型コロナウイルス感染症の全国的な再拡大と小児の感染者数や入院患者数の増加が見られたため、病院や看護師への負担を考慮し、質問紙調査についての研究協力依頼を見合わせた。そのため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額として生じた資金の使用計画として、主に2022年度に計画していた全国規模での質問紙調査3回分の実施にかかる経費、研究成果公表のためのホームページ開設等の費用および、研究の遂行や分析結果について研究協力者と検討したりするために必要となるオンライン機器の購入、研究成果の報告書作成や論文投稿等に必要な経費に充てる。よって、当初計上した予算については、予定通り最終年度である2023年度内に使用できると考えている。
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