2018 Fiscal Year Research-status Report
DV被害女性患者のスクリーニングおよび対応についての看護実践とその評価
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18K10438
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Research Institution | Okinawa Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
井上 松代 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 准教授 (30326508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新城 正紀 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 教授 (50244314)
赤嶺 伊都子 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 准教授 (60316221)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 臨床看護職者 / 教育的介入 / DV被害女性患者への対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27-29年度科研費(基盤研究(C))において、研究代表者らが開発した「臨床看護職者のDV被害女性患者への対応認識尺度(平成24-26年度科学研究費(基盤研究(C))」(以下、RS-FIPVP)の有効性・有用性を検証するため、教育プログラムの作成と教育的介入(研修会開催)の実施前後でRS-FIPVPによる認識度評価を行い、RS-FIPVPの有効性・有用性は確認された。本研究は、これまでの研究を継続・発展的にDV被害女性患者への対応実践向上を目指し、DV被害女性患者のスクリーニングおよび対応ができる看護職者を増やすことを目的としている。 当該年度(平成30年度)は、①これまでに教育的介入してきた施設のうちの1~2施設の救急センター、産婦人科外来、一般外来等の限定された部署で、研究分担者らが開発した「IPV被害者発見認識尺度(平成25-27年度科研費基盤研究(C))」(以下、DRS-IPV)を用いたスクリーニングの実施・評価を行うこと、②教育的介入施設の拡大(研修会開催)とRS-FIPVPによる認識度評価を行うことである。①については、1総合病院と1産科クリニックにてスクリーニング実施の依頼を行った。スクリーニング実施の体制を整えて本格的な実施を行うまで時間がかかり、評価については、次年度以降、実施状況を確認して評価することとした。②については、教育的介入施設を拡大し、保健師・行政職対象の研修会と医師(小児科医)対象の研修会を開催し、施設および職種の拡大を図った。その結果、RS-FIPVPは、臨床看護職者以外の職種にも利用できることが明らかとなった。また、教育プログラムは実践的な内容(対象者への声かけ、DVを疑う指標となる表情・態度等、スクリーニング質問票記入への声かけ、等)が多く、小児科医から高い評価が得られ、母親へのDRS-IPVの利用に前向きであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画に照らし合わせると、やや遅れている状況である。当該年度の1年間で、DV被害女性を発見するためのスクリーニングを臨床現場で実施し、さらにそれを評価するには期間が短いことがわかった。このことは計画段階で、十分予測できなかったことが問題であると考える。当該年度に2施設でスクリーニング実施の導入を行ったが、評価は次年度以降にずらして研究を進める予定である。このことは効果的な研究成果を得るために期間を延長している状況である。 もう一つ当該年度に計画していた教育的介入施設を増やすことについては、スムーズに遂行できた。これまでに実施した教育的介入(研修会)について、研修会の目的、DRS-IPVによるDV被害女性の早期発見の必要性などを記載したパンフレットを作成して研究者らの実績を伝えつつ研修会を開催したことが、臨床看護職者以外へ研修会が拡大したものと考える。 研究計画の遂行は、やや遅れている状況ではあるが、次年度以降に遅れた分は、実施可能である。今後は、効果的で確実な研究の遂行に向け、分担研究者らと協働して計画実施の管理運営に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の研究推進について、本研究課題の2年目(令和元年度:平成31年度)には、初年度(平成30年度)に実施できなかった調査を追加して、①「スクリーニング・DV被害女性への対応実践・評価」一連の流れをまとめ、平成27-29年度に収集したDV被害女性患者への対応実践に関する事例と合わせて、事例集の作成を行う、②研究成果発表(国内外の当該分野における関連学会での発表)を行うことである。①については、対象施設にて、スクリーニング実践の状況を確認して、その評価のための質問紙調査を行う。DV被害女性への対応事例等の数が少ないようであれば、さらに次年度へ調査を延期して行う。すでに収集した事例(平成27-29年度)については、まとめを進める。②は、国内の学会と国際学会に1件ずつ発表する。そのための準備を進めており、確実に計画どおり遂行する予定である。 本研究課題の3年目(令和2年度:平成32年度)には、①教育プログラム教材作成と前年度から取り組んでいる事例集を完成させて、医療機関等へ配布する、②研究成果の発表(国内外の当該分野における関連学会での発表および論文作成)を計画している。これまでに教育的介入(研修会)を行い、DRS-IPVでのスクリーニングを導入した施設で、スクリーニングを実践した看護職者の人数、発見および対応したDV被害女性の人数を調査し、看護職者のDVに関する認識と対応実践力の評価を行い、成果として発表および論文作成する。 現在、スクリーニングを導入している施設には、実施状況の把握と実施に関する問題等の確認を行い、研究者らが支援しながら看護職者らが実践しやすい体制がとれるよう連絡調整を行い、研究を遂行していく。
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Causes of Carryover |
(理由) 当該年度(平成30年度)に計画していた研究計画の一部が実施できなかったことにより、直接経費の予算執行も計画通りではなく残額が生じた。その件については、研究が中断しているということではなく、研究対象施設での取り組み(DVに関するスクリーニングの導入)はスタートしているが、その評価のための調査には期間を要するため、調査時期を延期した状況である。 (使用計画) 次年度(令和元年度・平成31年度)の使用額に前年度分を追加して、延期していた調査を実施していく予定である。
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