2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory survey of exacerbation factors and inhibitory factors of the dysmenorrhea of adolescent girls influencing future fertility.
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18K10461
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
池田 智子 鳥取大学, 医学部, 講師 (50444633)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 月経随伴症状 / 子宮内膜症 / セルフケア / 過多月経 / 思春期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,思春期の月経困難症の実態に着目し,コホート研究を行い,初経以降における進行する月経困難症の実態を把握すること,進行する月経困難症のリスク因子を探索的に明らかにすることを目的としている。 当該年度は,思春期の月経困難症の実態調査をし,月経痛が毎月ある高校生を対象に1年前に比べた痛みの増強と学校を休む等の生活への支障を踏まえ,「1年前に比べて月経痛増強はなく,休む等の生活への支障なし」をコントロール群とし,「1年前に比べ月経痛が増強し,生活への支障がある(潜在的子宮内膜症リスク群)」「月経痛増強はないが,生活への支障がある(月経痛へのセルフケア不十分群)」「月経痛増強はあるが、生活への支障はない(機能性月経困難症リスク群)」で群間比較した。高校生の月経痛は,1年前に比べた月経痛の増強と休む等の生活への支障のエピソードの有無によって,特徴が異なることが示唆され,月経痛が1年前より増強し,休む等の生活に支障を来したエピソードのある人は(潜在的子宮内膜症リスク群)、月経痛の程度が他の群に比べ有意に強く,鎮痛剤使用頻度も有意に高率であり,月経4日目まで使用するものがみられた。排卵周期確立に伴う月経痛の増強と経血多量である傾向が示され,潜在的な子宮内膜症リスクが懸念された。 高校生を対象に教育セミナーを開催した。月経痛に対する鎮痛剤使用は2日目が最も多く,月経痛が毎回あっても痛みが出現し我慢できなくなってから使用する傾向が推察され,薬物療法を含む月経痛対策の教育啓蒙が必要であることが改めて示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は思春期の月経困難症の実態に着目し,コホート研究を行い,初経以降における進行する月経困難症の実態を把握すること,進行する月経困難症のリスク因子を探索的に明らかにすることを目的とする。 初年度から当該年度を通して,思春期の月経痛に関する文献レビューし,高校生を対象とした月経痛の実態調査から月経痛が毎回ある女子の特徴を明らかにした。コホート研究に用いる調査項目として文献レビューから,主観的健康感,睡眠状況,運動習慣,食習慣,食品摂取状況,日常生活のストレス,冷え性,月経に対する認識が考えられたが,実態調査の結果から睡眠状況や食習慣,食品摂取状況,日常生活のストレス,冷え性等は質問紙調査ではバイアスが混在し,データの信憑性に欠けるため,研究方法を再検討する必要がある。 また中学生を含む思春期女子と保護者に対し月経に関する教育セミナーを開催し,参加者をコホート研究対象としてリクルートする予定であるため,高校生を対象に企画運営を実施した。教育セミナーを活用した研究対象のリクルートは可能と考えられたが,当該年度末からコロナ感染による外出自粛となり,研究対象のリクルート方法の変更が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の意義は諸外国で報告されている若年者で強い月経困難症を有する人はすでに子宮内膜症病巣が存在するか,将来的に発症するリスクが高いことが本邦でも懸念され,本邦の思春期女子の月経困難症の実態把握と,進行する月経困難症のリスク因子を探索的に明らかにすることである。 今後の研究の推進方策として,子宮内膜症と診断された女性の初経から確定診断を受けるまでの月経状況,月経随伴症状と対処行動を一般女性と比較し,子宮内膜症患者の思春期及び性成熟期の月経状況と月経随伴症状を後方視的に調査し,子宮内膜症を発症した女性の思春期から性成熟期の月経状況の特徴を明らかにする。 思春期女子を対象としたコホート研究は,コロナ感染状況,行動自粛の推移により開始を検討する必要があるため,県内または限られた地域によるリクルートが可能となればコホート研究を開始する。
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Causes of Carryover |
予定であった思春期女子を対象としたコホート研究の開始がコロナ感染により,開始が見送りの状態となり,今後の感染状況,行動自粛の推移により開始を検討することとなったためコホート運営予算を次年度に持ち越した。
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