2020 Fiscal Year Research-status Report
正期産期の血圧の安定につながる妊婦の水とくらしに関する研究
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18K10480
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Research Institution | Tenshi College |
Principal Investigator |
中田 かおり 天使大学, 看護栄養学部, 教授 (70469980)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 妊娠 / 高血圧 / 体水分 / 正期産期 / 日常生活行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、明らかな病理的経過を伴わない正期産期の血圧上昇の予防につながる、妊娠後期の母体の体水分や循環動態に影響を及ぼす日常生活行動を探索することである。本年度は、関連領域での幅広い情報収集とこれまでに得た知見の共有を試みたが、予定していた専門家からのヒアリングや研究協力施設との打ち合わせ、学会発表や報告会等を実施することができなかったため、文献検討による関連領域の動向調査と研究計画の検討を継続した。 2017年に、米国で発行された成人の高血圧に関する新しいガイドラインでは、「高血圧」の数値がこれまでより低く設定された。そのため米国では、血圧管理が必要な生殖年齢女性の数が倍増すると言われており、新基準での分析がすすめられている。すでに新基準によるステージ1高血圧(血圧130~139/80~89 mmHg)の女性は正常血圧(血圧<120/<80 mmHg)の女性よりも母児ともに周産期のリスクが上昇すると報告されている。 最近では、プールされた臨床データの大規模疫学調査が報告されており、妊娠期の血圧異常のリスクも再分析されている。中でも女性の体重やBMIは妊娠期の血圧異常の単独リスク因子であるとの報告が多く、とくに出産と出産の間のinterpregnancy BMIの増加との関連が注目されている。摂取する水の成分が妊娠期の血圧上昇に関連があるとの報告もある。 妊娠期の血圧異常はその女性の将来の循環器疾患のリスクだけでなく、子どもの健康にも影響するため、その予防は重要な課題である。妊娠前からの適正体重の維持や妊娠中のヨガは妊娠期の血圧の安定に、母乳育児は女性の循環器機能の改善に効果がある、との報告もあった。今後わが国でも、周産期に血圧管理が必要な女性は増加すると考えられる。海外での大規模データによる知見を参考にわが国での状況と動向を確認し、臨床知見を得る必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による、本務の業務調整・執行に関する過大な負荷により、研究環境の調整と研究計画の見直しが著しく遅延した。また、周産期医療施設での調査依頼が困難で、研究に関する調整等を進められない状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大状況を注視しながら必要な研究計画の見直しを行い、倫理審査の承認を経て、研究協力施設の承諾を得られた後、臨地でのデータ収集を開始する。研究計画は、新型コロナウイルス感染状況を考慮した見直しも視野に入れながら、吟味する。データが一定量収集できたところで分析を行い、対象数を含めた研究方法の見直しと必要な修正を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、施設におけるデータ収集を開始できなかった。そのため、データ収集に伴う謝金・謝品費、研究補助者への人件費・謝金、データ管理のための物品費、研究方法を具体化するための外部専門家やアドバイザー等との交流・会議のための会議費、旅費が未使用となった。 次年度は、データ収集にかかる研究補助者への人件費、研究参加者・協力施設への謝品費用、パイロットスタディの分析、研究計画の調整・打ち合わせにかかる会議費、旅費の支出が見込まれるため、約260万円の研究費を使用する見込みである。データ収集にかかる人件費・謝金として約180万円、研究協力者への謝品約30万円、データ収集・管理のための器材購入費として約10万円、国内外の研究者へのコンサルテーションや研究者との意見交換のための学会等参加費用として約20万円、その他会議費・消耗品等については、新型コロナウイルス感染予防対策にかかる物品購入や環境調整を含め、約20万円の使用を予定している。
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