2021 Fiscal Year Research-status Report
正期産期の血圧の安定につながる妊婦の水とくらしに関する研究
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18K10480
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Research Institution | Tenshi College |
Principal Investigator |
中田 かおり 天使大学, その他の研究科, 教授 (70469980)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 妊娠 / 高血圧 / 体水分 / 正期産期 / 臨床指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、明らかな病理的経過を伴わない正期産期の血圧上昇の予防につながる、妊娠後期の母体の体水分や循環動態に影響を及ぼす臨床指標を探索することである。本年度は、これまでに得た知見の整理・統合を行いながら、引き続き、文献検討による関連領域の動向調査と、研究計画の検討を行った。 2020年前後、妊娠高血圧症候群の病態に関するシステマティックレビューやメタアナリシスなどの文献が複数発表された。今年度は主に、妊娠経過中の血圧変動の特徴や血圧の変動に関する生理学的機序を正常妊婦と妊娠高血圧を発症した妊婦で比較した文献および、妊娠高血圧症候群の病態の違いを分析した文献を検討した。中でも、胎盤の形成異常が認められる早発型(妊娠34週未満に発症)妊娠高血圧腎症については、妊娠初期での診断が可能とされ、日本でも母体因子と臨床検査項目との組合せで妊娠高血圧腎症のリスク評価をしようとする研究が進められている(妊娠高血圧症候群の診療指針2021)。しかし、2021年に保険適用となった血清sFlt-1 / PIGF比のスクリーニング検査やアスピリンの服用は、早発型には有効であるが遅発型には効果がない、との報告がある。遅発型では、何らかのストレスにより胎児胎盤循環系の異常が起こっていると考えられており、その原因は不明である。 母体の肥満は、早発型、遅発型両方の妊娠高血圧発症のリスクであると報告されている(Bicocca, et al., 2020)。最近では、出産の高齢化に伴って、加齢による高血圧発症のリスクに加え、低出生体重で出生した子どもが生殖年齢を迎えるなど、妊娠高血圧のリスクが高いとされる女性が増加している。とくに、遅発型の妊娠高血圧に関しては、非妊時の女性の体型に加え、胎盤の形成異常などの明らかな病態が不明なストレスに対するケアの可能性を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による、本務の業務調整・執行に関する過大な負荷により、研究環境の調整が困難であった。また、周産期医療施設での調査受け入れ施設の調整が困難で、データ収集を進められない状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大状況を注視しながら必要な研究計画の見直しを行い、倫理審査の承認を経て、研究協力施設の承諾を得られた後、臨地でのデータ収集を開始する。研究計画は、新型コロナウイルス感染状況を考慮しながら、吟味する。データが一定量収集できたところで分析を行い、対象数を含めた研究方法の見直しと必要な修正を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、施設でのデータ収集を開始できなかった。そのため、データ収集に伴う謝金・謝品費、研究補助者への人件費・謝金、データ管理のための物品費、研究方法を具体化するための外部専門家やアドバイザー等との交流・会議のための会議費、旅費が未使用となった。 次年度は、データ収集にかかる研究補助者への人件費、研究参加者・協力施設への謝品費用、パイロットスタディの分析、研究計画の調整・打ち合わせにかかる会議費、旅費の支出が見込まれるため、約220万円の研究費を使用する見込みである。データ収集にかかる人件費・謝金として約180万円、研究協力者への謝品約20万円、データ収集・管理のための器材購入費として約5万円、国内外の研究者へのコンサルテーションや研究者との意見交換のための学会等参加費用として約10万円、その他会議費・消耗品等については、新型コロナウイルス感染予防対策にかかる物品購入や環境調整を含め、約5万円の使用を予定している。
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