2020 Fiscal Year Research-status Report
グループホームにおける認知症高齢者の自助・互助の活動指標の構築と地域創生の発展
Project/Area Number |
18K10501
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
京田 薫 金沢大学, 保健学系, 准教授 (00639776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板谷 智也 金沢大学, 保健学系, 助教 (10765192)
塚崎 恵子 金沢大学, 保健学系, 教授 (20240236)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 共生社会 / 認知症グループホーム / 地域交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症者に対する生活支援、家族・医療保健福祉機関・地域住民との関わり、地域における認知症者への支援の実情を明らかにするために、3か所のグループホームの管理者を対象とし、Webインタビュー調査を行った。対象者は40代~50代の管理者3名、インタビュー時間は40分~1時間だった。基礎資格は、介護福祉士および看護師、施設の平均稼働年数は15年、施設の平均利用者は17.3人だった。 インタビューの結果、次の7つのことが明らかになった。①BPSDを予防するためには、特に入所時は、利用者の混乱が予想されることから、専門医と連携し、利用者のこれまでの生き方と入所後の生活状況をアセスメントする必要性が示された。②認知症者及び認知症ケアに関わる人々との間に築くパートナーシップと、それに基づく様々な支援の重要性が示された。③職員の地域交流は利用者の地域交流のロールモデルになる可能性があり、また平常時の職員の地域交流は、緊急において地域の人々と相互に助け合うことに有効であると考える。しかし、地域の自治会と合同で防災訓練を行うことは難しいことが明らかになった。④認知症があっても住み慣れた地域で暮らしていける共生社会をめざすために、家族や地域住民の理解を得て、認知症の方が主役となり活動できるように支援を行っている。コロナ禍のためこうした支援は難しいことが指摘された。⑤地域にグループホームの強みを発信することは認知症の理解力・受援力・共生力に貢献できると示唆された。⑥グループホームでは、おだやかに最後をむかえられるように、看護職を中心に看取りの支援を行っている。必要時に医療を受けられるために、医療機関との連携が課題であることが明らかになった。⑦現社会では、認知症だけでなく、身体・精神に特性のある人全ての人が、住み慣れた地域で安心して暮らしていけるような共生社会の考え方は重要であると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高齢者施設において、利用者及び職員の新型コロナウイルス感染症の発生がおきており、本調査が施設の負担とならないように、調査方法や調査時期を検討してきたため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、47都道府県別の認知症高齢者の自助・互助の実態と課題を明らかにする研究を行う予定である。調査対象は全国のグループホームを医療情報システムから地域別層化抽出し管理者を対象とする。調査方法は郵送法により無記名自記式質問紙調査を行う。調査項目は自助・互助に関する項目を調査する。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、研究者が施設に出向き、対面にて観察調査する予定であったが、新型コロナ感染症の流行のため、Web調査に変更した。そのため次年度使用額が生じた。次年度使用額と令和3年度に請求した助成金とあわせて、令和3年度は全国のグループホームを対象とした自記式質問調査による実態調査を行う予定であることから、調査用紙の作成費用、郵送料、統計ソフト等を購入する経費に充てる。
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