2019 Fiscal Year Research-status Report
在宅における気管内吸引カテーテルの再使用と呼吸器感染症発生との関連の細菌学的検証
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18K10502
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白井 文恵 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50283776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 かおる 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60332376)
阪上 由美 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (60711512)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 気管内吸引 / 呼吸器感染症 / 在宅療養 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管内吸引カテーテル(以下カテーテルと略す)は単回使用が原則とされるが、在宅療養の場では再使用されることが多い。カテーテル使用後の拭き取りに使用する物品についてはアルコールが推奨されている。しかし、口腔内吸引の場合は必ずしもアルコールが使用されているわけではない。また、使用後のカテーテルの拭き取りの指導も統一したものはない。拭き取り物品と方法について検討した。カテーテルを大腸菌及び黄色ブドウ球菌液に浸漬後、70%アルコール綿、ウェットティッシュ、ティッシュペーパーの3種類を用いて、先端に向かって1度拭き取りを行った。カテーテルの側面および先端に菌が残存しているか確認するために、カテーテルを普通寒天培地に押しつけ、37℃で24時間培養し、発育したコロニー数から生菌数を測定した。その結果70%アルコール綿で拭き取ったカテーテル側面から大腸菌、黄色ブドウ球菌は検出されなかった。ウェットティッシュでは大腸菌の検出率は50%、黄色ブドウ球菌は75%であった。さらにティッシュペーパーでは、大腸菌、黄色ブドウ球菌ともに検出率が100%であった。70%アルコール綿で拭き取ったカテーテル先端から大腸菌は検出されなかったが、ウェットティッシュとティッシュペーパーで拭き取ったカテーテル先端からは検出された。黄色ブドウ球菌では、70%アルコール綿、ウェットティッシュ、ティッシュペーパーいずれで拭き取った場合でも菌が検出された。汚染されたカテーテルを保管・再使用し気管内吸引を行うことは、呼吸器感染症につながるリスクが高まる可能性があるため拭き取りにはアルコール綿を使用する必要があると考える。また、カテーテル先端に菌が残存することを考慮し、カテーテルを拭き取る必要が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究で在宅で気管内吸引カテーテルを再利用している療養者への実態調査実施し、その中で課題とされた内容について、2019年度には実験的な検証を実施した。2019年度で明らかとなった気管内吸引カテーテル再利用の細菌学的実証結果が在宅療養の現場でどのように行われいてるかを2020年度の研究で明らかにし、気管内吸引カテーテルの呼吸器感染症発症との関連を明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
関西圏の訪問看護ステーションの看護師を対象に、①気管内吸引カテーテルの再使用に関する課題と訪問看護師の指導の実態について、②介護者の気管内吸引カテーテルの管理状況の実態と利用者の肺炎発生頻度について、インタビュー調査を実施する。 対象とする訪問看護ステーションは、人工呼吸器を装着し気管内吸引処置を受けているALS療養者および小児の在宅療養者の訪問を行っている関西圏の訪問看護ステーションである。本研究は、大学の倫理審査委員会の承認を得た後に実施する。
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Causes of Carryover |
実験研究に使用する物品費が当初計画より少なく抑えることができたため、次年度使用額が生じた。本年度、調査のための費用に充足する。
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