2020 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症者のリカバリーとスポーツ科学に関する研究
Project/Area Number |
18K10504
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤本 裕二 佐賀大学, 医学部, 助教 (30535753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 裕子 沖縄県立看護大学, 看護学部, 教授 (00259673) [Withdrawn]
楠葉 洋子 国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 教授 (90315193)
松浦 江美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (20363426)
中垣内 真樹 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (10312836)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統合失調症 / リカバリー / 身体活動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度(令和2年度)は,地域で暮らす統合失調症者50名を対象に身体活動量の分類による各因子との関連について検討した。 身体活動量は,IPAQプロトコールに従って総身体活動量(METs・分/週)を算出(中央値)した。総身体活動量が600METs・分/週未満を「低身体活動」,3000METs・分/週以上もしくは強い身体活動に関する総身体活動量が1500METs・分/週以上を「高身体活動」,どちらも該当しない者を「中身体活動」に分類した。各因子は,背景項目として年齢,発症年齢,入院回数,地域生活期間,握力(左右)及び,リカバリーレベルを評価する24項目版Recovery Assessment Scale日本語版(RAS),特性的自己効力感(GSE),首尾一貫感覚(SOC)の尺度を用いた。 総身体活動量は892.5METs・分/週であり,高身体活動1名(2.0%),中身体活動27名(54.0%),低身体活動22名(44.0%)であった。低身体活動と中・高身体活動の2群間で各因子について検討した結果,中・高身体活動群は低身体活動群に比べてRAS合計得点(p<0.05)とGSE合計得点(p<0.05)が有意に高く,背景項目及び,SOCとの間に有意差は認められなかった。 一般成人を対象とした先行研究と比較して,本研究における高身体活動の統合失調諸者割合が少なく,活動量の少なさが伺える。今回,身体活動量とRAS,GSEのみに関連がみられたことから,統合失調症の身体活動量は心理社会的側面に影響している可能性があることが推察される。しかし,今回の分析対象者が少ないため,今後は対象者をさらに増やし,身体活動量とリカバリーとの関連,因果関係について検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は,病院デイケア,就労継続支援B型事業所の対象施設に地域で暮らす統合失調症者を対象にアンケート調査を実施し,身体活動量の関連について検討することができた。しかし,新型コロナウイルス感染症の影響によりアンケート調査が実施できず,目標対象者数の半分程度(56名)しかアンケート調査が実施できておらず,現在までの進捗状況を「遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も,新型コロナウイルス感染症の状況により,予定していた対象施設から承諾が得られにくいことも想定されるが,感染状況に応じて対象施設と協議し,感染対策・感染予防を徹底しながら着実にアンケート調査を遂行する予定である。また,協力が得られた対象者の貴重な回答に不備がないよう,アンケート内容に対する疑問点や記入内容について個別に対応をしながら有効回答数の確保に努める。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由と使用計画】 本年度は,日本看護研究学会学術集会で研究成果を報告したが,オンデマンドによる参加とであった。また,新型コロナウイルス感染症の影響によって予定したいた対象施設との打ち合わせとアンケート調査を実施することができなかったこと,研究分担者との会議をオンラインで実施したことによって旅費及び,調査に必要な物品購入が減ったことで研究計画書に計上した予定額と実支出額に誤差が生じた。 【次年度の研究費の使用計画】 本研究は,地域で暮らす統合失調症を対象として聞き取りによるアンケート調査を実施するため,調査の打ち合わせと調査旅費が必要となる。また,アンケート調査に必要なPPC用紙,文具等の消耗品等の補充を行う。物品については,可能な限り研究者が所属する既存設備を利用する。次年度も,学会で研究の成果を公表する際の学会参加費が必要となるが,オンデマンド開催であれば旅費が不要となる可能性がある。
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