2020 Fiscal Year Research-status Report
訪問看護師のためのエコーを活用したフィジカルアセスメント技術習得プログラムの開発
Project/Area Number |
18K10506
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
志田 淳子 宮城大学, 看護学群, 准教授 (30530654)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超音波診断装置 / 訪問看護 / フィジカルアセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に実施して明らかになった課題を受け、2020年度は尿道留置カテーテル挿入中の訪問看護利用者の尿量減少をはじめとするトラブルへの対処や、残尿確認に焦点化した技術トレーニングを計画した。しかし、新型コロナウィルス感染症の流行により、対面によるトレーニングが実現できなかった。 一方で、自力で排泄ができない利用者について、膀胱内に貯留する尿量が少量であることを訪問看護師がエコーで確認したことから、カテーテルの挿入の必要性がないことを利用者宅で判断できるケースが複数あった。ならびに、普段より尿量が少ないため、エコーを活用して残尿を確認するとともに、飲水量を含めたフィジカルアセスメントを行った結果、脱水状態による尿量減少と考えられ、主治医と相談して飲水量の調整により状態が改善した事例があった。このように、エコーの活用によってフィジカルアセスメントの正確性が増し、不要な医療行為を避けることができた事例を複数経験するに至った。 つまり、通常の視診、触診、聴診、打診に加え、エコーを活用した身体内部の視診が入ることによって、訪問看護師のフィジカルアセスメント能力が向上したことが示唆された。また、使用しているVscan Extendは画像共有機能が付加されているため、訪問看護師が利用者宅で表出した鮮明な画像を主治医等とタイムリーに共有することが可能であることから、専門職連携の点からも有用である。これらは、利用者が今まさに必要としている最善のケア内容と方法を検討し、その場でケアを提供するというプロセスにつながっていることを示した。このプロセスは、侵襲を伴う不必要なケアの回避というアウトカムをもたらしたことから、利用者のQOLの維持、向上につながると考えられ、医療の質の評価におけるエコーの有用性が改めて示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行のため、訪問看護師と利用者宅へ同行訪問できる機会が得られなかった。また、感染症予防の観点から、訪問看護師側の行動制限があり、対面による技術トレーニングが実現できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
エコーを活用してフィジカルアセスメントを実施した事例について、ケア内容や利用者の状態等について前後比較を行い、訪問看護におけるエコーの活用の有用性を検証する。
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Causes of Carryover |
介入研究がほとんど実施できなかったため。 次年度は介入研究を実施できる見込みであり、交通費や謝金等に予算を活用する。また、訪問看護における費用対効果を考慮し、訪問看護ステーションが導入可能なエコーの追加購入と現場での活用を検討する。
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