2018 Fiscal Year Research-status Report
フレイル高齢者における尿失禁リスクの検討と多職種間連携による予防法の構築
Project/Area Number |
18K10511
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
窪田 泰江 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (00381830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 裕也 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (20814255)
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
濱川 隆 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (40595394)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フレイル / 高齢者 / 尿失禁 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本老年医学会は高齢者が筋力や活動が低下している状態(虚弱)を「フレイル(Frailty)」と呼ぶことを2014年5月に提唱した。近年、「フレイル」と呼ばれる不健康を引き起こしやすい状態と生活習慣病との関連が注目されている。 一方わが国では、超高齢社会を迎え、切迫性尿失禁や頻尿をきたす過活動膀胱患者は800万人を数えている。尿失禁を来す疾患には、過活動膀胱以外にも前立腺肥大症や腹圧性尿失禁などがあり、認知機能が低下してトイレが認識できないために起きる機能性尿失禁の場合もある。いずれの場合においても、尿失禁は患者自身のQOLを損なうだけでなく、介護負担も増すことから、その発症予防は、医学的のみならず社会的にも緊急課題になっている。尿失禁が改善することで外出への意欲が増すなど、尿失禁の治療とQOLは密接に関与している。フレイルに陥った高齢者を早期に発見し、尿失禁治療にも適切に介入することにより生活機能や膀胱機能の維持・向上を図ることができると考える。 本研究は、社会の高齢化とともに頻度が増加している、フレイル(虚弱:Frailty)と高齢者における尿失禁のリスクを検討し、多職種間連携によりその予防法を構築することを目的としている。 平成30年度はまず国内外のフレイル高齢者に関する研究データを収集し、尿失禁を有する患者と有しない高齢者におけるフレイル指標に関するデータを集めた。また名古屋市と連携し、過活動膀胱患者の実態調査を行うべく、準備を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フレイルに関する文献検索や尿失禁や介護予防に関わる資料を分析することにより、今後どのような調査を継続して行うべきか、見通しが立ってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
近年欧米では、過活動膀胱患者が統計学的にフレイル高齢者になっている割合が高いことが報告されている。また、台湾においても、80歳以上の高齢男性において、尿失禁とフレイルとの関連が報告されている。しかしながら、我が国においてはまだこのような研究報告はなく、高齢者の健康増進を考える上で予防法も含めた検討が必要だと考えている。 そこで、調査会社や行政と連絡しながらまずは過活動膀胱の有病率など、中高年以上の一般市民を対象にした実態調査をアンケートの郵送・回収という手法を用いて行う予定である。その上で、フレイル高齢者とコントロール群の高齢者における尿失禁の有病率をデイサービス利用者(要介護認定者)と支援を要しない高齢者などを対象にアンケート調査を行い、どのようなことが尿失禁の増悪因子になっているのかについてなど、比較検討するつもりである。
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Causes of Carryover |
本年度は、文献検索や資料作成などの仕事がメインであり、次年度のアンケート調査に向けて準備を行っていた。その中で物品費に残額が生じたため、翌年度に行う行政と連携したアンケート調査に必要な物品費、通信費、データ解析費用として残額を請求した助成金と合わせて使用予定である。
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