2018 Fiscal Year Research-status Report
マイノリティ高齢者のヘルスリテラシー支援のための地域包括ケアのモデル構築
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18K10513
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
相原 洋子 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 特命准教授 (90453414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 逸子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (30221071)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 言語的マイノリティ高齢者 / 地域包括ケア / ヘルスリテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高齢化する日本に定住する日本語を母語としない高齢者が地域ケアサービスの選択やセルフケア能力を高めるために、言語通訳といった支援者の養成と地域ケアサービス提供者となる地域包括支援センター職員の文化的コンピテンシーを高めることを目的としている。 1年目となる当該年度は、神戸市が独自に実施している定住外国人高齢者の介護通訳(コミュニケーション・サポーター)の通訳場面の実際を観察し、通訳上の課題を把握することを目的とした。定住外国人の上位を占める韓国、中国、ベトナム語それぞれのサポーターに同行し、参与観察と観察後の振り返りをインタビューで行い、質的に分析する方法を予定していたが、韓国語の需要が少ないうえ、当初予定していた韓国語通訳の場面が災害により中止されてしまい、中国語とベトナム語のみの参与観察となった。また参与観察の場面において、日本人主任介護支援専門員が通訳を利用するうえでの課題を挙げたため、当初の研究計画に加えて、通訳派遣を要請する側(日本人ケアスタッフ)で、外国人高齢者のケアを経験したことのある3名を対象にケアを提供する際の課題についてインタビューを行い、質的に分析を行った。結果、コミュニケーション・サポーターならびに、日本人ケアスタッフ間で言語通訳の齟齬や意識の違いがあることが把握された。 今年度の結果をもとに、次年度は地域包括支援センター職員を対象にし、言語マイノリティ高齢者の対応の経験やコミュニケーション、ヘルスリテラシーの課題について調査を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コミュニケーションサポーターの参与観察場面において、データ収集を計画していた時期において災害(台風、大雨、地震)が集中して起こり、同行場面がキャンセルされたため、データ収集期間を1か月延長した。また当初予定していた韓国語通訳においては、ニーズが少ないという実態が把握され、中国語、ベトナム語のみの観察となったが、収集サンプル数は計画通りの数となり、順調に進展できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、地域包括支援センター職員を対象とし、言語的マイノリティ高齢者とのコミュニケーションの経験や問題点を把握し、通訳を養成する側となるサービス提供機関のシステムレベルにおける課題をアンケート調査をもとに明らかとする予定である。これに加え、当該年度の研究結果から、日本人スタッフが通訳を利用するうえで抱えるストレスが把握されたことから、今後、日本人スタッフと言語的マイノリティ高齢者のコミュニケーションが円滑に行ううえで、担うべき通訳の役割を明確にすることを目的に、通訳派遣経験のある日本人ケアスタッフ(介護士、主任介護支援専門員)とコミュニケーション・サポーターとのグループインタビューを実施する計画である。
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Causes of Carryover |
参与観察した場面のテープ起こしを業者依頼する予定であったが、参与観察した研究者が文字起こしをしたため助成金が生じた。次年度に余剰した助成金は、アンケート調査対象者を拡大し郵送費と調査票の消耗品費ならびに、グループインタビューを行う際の対象者への謝金に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)