2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の皮膚耐性から捉えたスキンテア(皮膚裂傷)の発生要因の解明と予防法への応用
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18K10522
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Research Institution | 福井医療大学 |
Principal Investigator |
北川 敦子 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (80343185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 淳 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (60274180)
佐伯 壮一 名城大学, 理工学部, 教授 (50335767)
中谷 壽男 金沢大学, 保健学系, 教授 (60198124)
古川 大介 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (80774760)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スキンテア / 真皮層血流 / 日光暴露 / 皮膚脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
UV照射により脆弱な皮膚で起こっている血流動態を検討した。 【対象】28週齢のヘアレスマウス2匹であった。 【実験環境】UV照射の有無を炎症条件とした比較実験を行った。サンプルA(41 g)をコントロールとして用い、これに対しサンプルB(37g)には、15 mW/cm2のUV - A , UV-Bそれぞれ20分照射工程を3日間実施した。それぞれに光感受性物質として濃度1.56 (g/l)のIndocyanine Green (ICG)(5) 50μl 腹腔内注射にて投与した.撮影は,ICG 未投与、投与後10 分、25 分、40 分の4 時刻にて実施した。その後、ドップラー速度を算出した。 【結果及び考察】サンプルB のICG 投与後10 分経過状態の流速断層像の経時変化は、x = 1200~1500 μm 付近にドップラー成分の変動が確認できた。サンプルBのx = 1200 μm 付近を確認すると、投与後10 分では確認できなかった振幅スペクトルが25 分では確認できた。これは、毛細血管から組織へ漏出したICG がリンパへと流れ,停留している状態が検出されたと考えられる。UV照射有無を比較するため,投与後25 分経過状態では、サンプルA はx = 1500~1800 μm において,局所的に大きな速度振幅が検出された。この局所領域の干渉強度は低いため毛包が存在すると考えられ、毛包周りの毛細血管に残存しているICGが反応していると考えられる。一方,サンプルB では計測範囲全体に比較的高い速度振幅が確認できた。これは、UV 照射により皮膚組織に炎症が発生し、毛細血管から血漿の漏出量が増加し、ICG の拡散が真皮層全体に広がったと考えられる。スキンテアの危険因子には日光暴露歴が挙げられている。今回の実験でUVは皮膚の脆弱化を起こすことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、真皮上層における毛細血管血流速マイクロ断層可視化をヘアレスマウスを用い実験を行った。さらに、2020年度に実施予定である、介入研究についての介入項目についても検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は本年度のヘアレスマウスの実験をさらに進化させ、脆弱な皮膚モデルを作成しながら皮膚血流を測定し、血流側から見た皮膚の脆弱性を検証していく。皮膚の柔さ、皮膚機能、肌理構造などのデータも蓄積しながら、各測定項目間での関係性で得られた結果から、脆弱化をおこすメカニズムを明らかにする。併せて、調査結果と介入した結果からスキンテアを予防できるケアの応用化を目指していく。
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Causes of Carryover |
前年度の繰越金額が残金として残った結果、次年度使用額が上回った。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としては、翌年度は介入研究による物品の購入と動物実験モデルによる作成費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)