2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の皮膚耐性から捉えたスキンテア(皮膚裂傷)の発生要因の解明と予防法への応用
Project/Area Number |
18K10522
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Research Institution | 福井医療大学 |
Principal Investigator |
北川 敦子 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (80343185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 淳 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (60274180)
佐伯 壮一 名城大学, 理工学部, 教授 (50335767)
中谷 壽男 金沢大学, 保健学系, 研究協力員 (60198124)
古川 大介 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (80774760)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スキンテア / スキンケア / 皮膚生理 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】スキンテアに有効であるといわれている保湿剤の有無により、スキンテアの発生率や高齢者の皮膚状態に変化があるのかを検討するために調査を行った。 【研究方法】調査期間は2022年2月~3月上旬であった。対象者は高齢者施設の入所者で75歳以上のスキンテアの発生リスク因子を1つ以上もつものである。調査開始時に皮膚の生理学的測定(TEWL、角質水分量、真皮水分量、皮膚PH、皮膚粘弾性、AGEs量)と真皮のエコー像及び皮膚の写真撮影を行い、無作為に保湿剤の塗布群(19名)と無塗布群(20名)の2群に分けた。基礎データをカルテから調査した。塗布群には調査翌日から保湿ローションを1日2回、4週間、施設の看護師によって両前腕に塗布した。倫理的配慮は、倫理審査委員会の承認(新倫20121-24)を得ておこなった。調査においては、家族および後見人に本研究の説明書、研究の同意の撤回、研究不参加による不利益の回避、研究結果の公表とデータの取り扱いなどを同意書とともに郵送した。同意書への署名の返送をもって本研究に同意したと判断した。調査前には対象者に研究の趣旨を説明し同意を得た。感染予防対策を調査施設のガイドラインを遵守し、対象者がCOVID-19をはじめとする感染の危険にさらされないように配慮した。 【結果】調査対象者は39名であった。男女比は5:34であり、年齢(平均±SD)は89.8±5.7歳であった。2回目の調査が行えたのは10名であり、塗布群8名、無塗布群2名であった。調査期間を通じてスキンテアの発生者はいなかった。2群間では対象者数が少なく測定項目間の解析はできなかった。塗布群でみると、角質及び真皮水分量が塗布後に有意に上昇していた(角質水分量p=0.019、真皮水分量p=0.011)。保湿剤の有効性が示されたが、対象者が少なく十分な検証は今後も必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査までにCOVID-19の制御までの時間がかかり、感染状況が落ち着いたため調査を始めたところ、2回目の調査で研究施設にCOVID-19の感染者が発生し、調査施設への立ち入り禁止となったため調査の継続ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
夏頃に再度調査を予定している。調査期間が短期間で行えるように保湿剤の塗布を4週間から2週間へ変更することも考慮している。
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Causes of Carryover |
COVID-19の蔓延状況により調査が完了できなかったため、次年度使用額が生じている。COVID-19の蔓延が落ち着いた段階で調査は可能と調査施設との申し合わせができているため、調査及び研究者間でのミーティングを行う計画である。
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