2019 Fiscal Year Research-status Report
災害拠点病院における放射線災害初動体制構築支援プログラムの開発
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18K10533
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
野戸 結花 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (80250629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
漆坂 真弓 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (70326304)
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70455731)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線災害 / 災害看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原子炉施設等の立地道府県以外の県の災害拠点病院における放射線災害の初動体制構築を支援するプログラムの開発である。2019年は以下の研究を実施した。 目的:看護職者の放射線災害発生時の初動対応に影響する要因とその関連を明らかにする。対象者:災害拠点病院と原子力災害拠点病院等計885施設のうち重複施設を除く740施設に勤務する看護職者で、放射線災害時の看護の経験がある者、放射線災害時の看護に携わる可能性がある看護職者計1480名。方法:無記名自記式質問調査。開発した『放射線災害の初動対応に関する意識への影響要因尺度』を用い、Ajzenが提唱する『計画的行動理論』を理論枠組みとした仮設モデルを設定した。分析方法:「行動」「意図」及び5因子【実践的知識】【専門性への志向】【他者からの役割期待】【協働体制】【放射線被ばくへの不安】を観測変数とした共分散構造分析。結果:最も適合度の良いモデルとして災害拠点病院群と原子力災害拠点病院等群の2群の『放射線災害発生時の初動対応に関する意図・行動を強化する影響要因モデル』を採用(GFI=0.998、χ2値CMIN=3.024、P=0.388、AGFI=0.978、CFI=1.000、RMSEA=0.005)。考察:両群のモデルとも「意図」は「行動」に強く影響していたことから、「意図」が高まることが放射線災害発生時に医療チームの一員として看護を行う意識の向上につながる。また、「意図」を規定する要因は【専門性への志向】【実践的知識】であり、災害拠点病院群のモデルでは【放射線被ばくへの不安】が加わる。「行動」を規定する要因は「意図」【他者からの役割期待】であり、災害拠点病院群のモデルでは【実践的知識】が加わる。【専門性への志向】や【実践的知識】【他者からの役割期待】を高め、【放射線被ばくへの不安】を軽減する支援が有効であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの調査を実施し成果の公表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究で明らかにした初動対応に関する意識に影響を及ぼす要因を解析し、放射線災害時の初動体制構築を支援するプログラムの提案を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた打ち合わせ等のための旅費を別の研究事業の経費と合わせて実施したことから余剰が生じた。2020年度も大規模調査を行う予定であることから、郵送費及び発送作業謝金等で使用する予定である。
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